子どもたちの健やかな成長を

子どもの心とからだの健やかな成長をめざして - 心を結ぶコミュニケーションのとり方を学ぶことを通して -

2010/08/21

第29 回 愛教組女性部養護教員研究集会

 愛教組は、県内養護教員と単組(支部)の女性部長の参加のもと、愛教組女性部養護教員研究集会を開催しました。「子どもの心とからだの健やかな成長をめざして-心を結ぶコミュニケーションのとり方を学ぶことを通して-」をテーマに基調提案・意見発表・講演を行い、学習を深めました。

内容

基調提案「養護教員をとりまく情勢と取り組みについて」

 本年度は、106校が複数配置になっています。子どもたちの健康問題が多様化するなか、一人ひとりへのきめ細かな対応が望まれています。子どもたちのため、複数配置の拡大と既配置校の継続保障を求めていきます。
 また、妊娠した養護教員の健康診断実施に係る負担軽減措置については、妊娠した養護教員の半数近くがこの制度を活用することができました。今後も、円滑な行使にむけたさらなる情宣と校内体制づくりについて働きかけていくとともに、母体保護と職務の円滑な遂行のために養護教員の職務の特性に応じた条件整備が必要であるという考えのもと、制度の拡充について引き続き検討していきます。

意見発表

  • スクールカウンセラーの先生には、子どもからの相談だけでなく、担任や保護者の方から子どもとの関わり方について相談を受けるなど、さまざまな活動をしていただいています。しかし、勤務が週に1回の決まった曜日のみとなっており、十分な時間が取れません。スクールカウンセラーの増員をお願いします。
  • 本年度より個別加配による複数配置となり、1人が健康診断をすすめ、もう1人が保健室に来室した子どもの対応と、より効率的な職務ができるようになりました。一方、子どもの数が減り、複数配置とならなかった学校もあります。養護教員の複数配置基準の引き下げはもちろんのこと、単なる児童数の基準ではなく、学校の実情を踏まえた加配の拡大も強く要望します。
  • 本年度4月に妊娠がわかり、10月から産休に入る予定です。妊娠した養護教員の負担軽減措置があることは知っていましたが、制度の具体的な内容や申請の方法などもよく知らず、制度について調べる余裕もなく、勤務を続けていました。妊娠した養護教員が安心して職務に取り組めるよう、制度の内容を広く情宣して、制度の認知度を高め、利用しやすい環境を整えていただきたいと思います。

講演の概要「子どもの成長をめざした心を結ぶコミュニケーションの取り方」
【講師】ステップあいち代表・臨床心理士 石田まり子さん

人間社会でこそ育つ人

 オランダの教育学者、ランゲフェルトは「人は、教育されなければならない動物である」と言っている。若い母親と話していると、子どもは生まれた時から善悪の判断ができる、生きる能力をきちんと身につけていると思い込んでいる人が多いと感じることがある。しかし、子どもは胎内でそんな教育を受けてはいない。子どもというのは、本来教育されなければ人間の子どもにはなれないのである。

思春期の子どもとの心を結ぶコミュニケーション

 幼い子どもが、親や大人たちから愛情を注いでもらいたがるというのは理解されやすい。しかし、十代、思春期に入った子どもも幼い子どもと同様に愛情を注いでもらいたがっている。むしろ、思春期に入った子どもの方が、精神的な愛情や情緒的なサポートを求めている。ただ、それを伝えることを隠したがる。愛情を求めていると伝えることが照れくさかったり、躊躇したりしてしまうのである。そのため親は、「何を考えているか分からない」「少しも話をしてくれない」という状況になり、心を結ぶことができなくなっていく。
 このように、思春期に入った子どもに自己表現させるのはとても難しいが、決してあきらめてはいけない。子どもから反応がなくても聞いていないのではない。身体表現から見えなくても、子どもたちはきちんと聞いている。思春期特有の子どもの表情を読むことが重要である。

コミュニケーションのポイント

 子どもと心を結ぶコミュニケーションを取るときのポイントを紹介する。

  1. 話が終わったら、中心的な考えや感情を解釈して、言い直し、問題を明確化する。
  2. 審判を下したり、批判的な物言いをしない。そして話を遮らない。批判的な言い方をされたり、話を遮られたりすると、そこで子どもの話が終わってしまう。子どもは気持ちを打ち明けなくなる。
  3. 話を聞くときは、忙しくても相手の方を見る。
  4. 自分の声の高さに注意する。低く穏やかな声で、会話を弾ませる努力をする。
  5. できるだけ会話の機会をつくる。
  6. 自分の人生経験を遠慮なく話す。特に失敗談を語る。
  7. どんなことでも相談に来ていいと保障する。大人にとって些細なことでも、そこには子どもにとって深いものが隠れているかもしれない。
  8. 何か話したがっていないか常にアンテナを立てておく。
  9. 話しづらいときは手紙を書く。
  10. 素直に話すことができる大人を見つけてあげる。一人の子どもを一人では支えきれないことがよくある。いろいろな人にかかわってもらうとよい。
しつけというコミュニケーション

 虐待をした母親の口から「しつけとしてやった」という言葉を聞くことがある。しかし、しつけとは「自己コントロールを教えること」であり「大人の世界や社会に入っていく準備をさせること」である。しつけは、動機と抑止による効果的な限界の設定とそれを守らせるシステムと考えるべきである。例えば、食事をポロポロこぼす子がいたとき、「何やってんの」と叱り、叩く。これは、しつけではない。しつけなら自己コントロールを教えるために、励ます、手本を示す、どうしてこぼしてはいけないかを教えるなど、将来の目標や希望を伝えることが必要である。

権利と責任

 しつけのゴールをより明確に反映させるには、子ども自身の権利や責任に気付かせるとよい。ダメというよりむしろ、あなたの責任においてそれはやるべきことではないと言う方が本人の自己コントロールに繋がっていく。生活のルール、門限を守ることから、薬物、無免許運転などの違法行為についても、権利や責任という立場で大人が注意すべきことである。

穏やかな罰の与え方

 穏やかな罰の与え方をわたくしたちは学ぶ必要がある。一つの方法は「あなたがやらなければ、話はしません」と宣言して無視をする。「ちょっとこの部屋で考えて」と声をかけ、自分で気持ちを静められる時間を取り、少し離れるという方法もある。さらには、叱りとばさないで「あなたがやっていることを見ると、先生、とっても辛くなるわ」といった子どもが自分を見つめ直すことができる声かけをするとよい。

最後に

 心を結ぶコミュニケーションをとるためには、子どもが言っていることに耳を傾け、よく聞くことが大切である。特に子どもが発した第一声が重要だと感じている。第一声を頭に置きながら話を聞くとよい。

参加者の声
  • 子どもたち一人ひとりの何気ない言動や声に耳を傾けていきたいと思いました。悩みをうまく表現できない子どもたちだからこそ、真剣に向き合わなければならないと強く感じました。
  • 「心が結べていれば、どんなことを言っても通じる、わかり合える」というお言葉がとても印象的でした。子どもの第一声をもっと大切にして聞いていきたいです。
  • しつけもコミュニケーションの一つとして考え、子どもと向き合っていきます。


       講演する石田まりこさん

カテゴリー:女性部養護教員研究集会, 子どもたちの健やかな成長を    

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