子どもを中心にすえた教育研究を

第59次 教育研究愛知県集会

2009/10/31

1 国語教育 文学その他
作文その他
2 外国語教育
3 社会科教育 小学校
中学校
4 数学教育 算数
数学
5 理科教育 物理・化学
生物・地学
6 生活科教育
7 美術教育
8 音楽教育
9 技術教育
 
10 家庭科教育
11 保健体育 体育
保健
12 自治的諸活動と生活指導 小学校
中学校
13 能力・発達・学習と評価
14 特別支援教育
15 進路指導
16 教育条件整備
17 過密・過疎、へき地の教育
18 環境問題と教育
19 情報化社会の教育
20 読書・学校図書館
21 総合学習

基調報告より

 現在、各学校では子どもたちの健やかな成長を願い、日々教育活動に取り組んでいます。そして、ゆとりとふれあいの中で子どもたちに主体性・創造性を育み、自ら課題を見つけ、判断し、行動できる「生きる力」を身につけさせることをめざした実践研究がすすめられています。
 これまでの58次にわたる教育研究の中で、わたくしたちは夢と希望あふれる教育の創造をめざし、子どもたちを中心にすえた数多くの教育実践を積み重ねて きました。そして、教育研究活動の成果のまとめとして「各学校における教育課程編成への指針」を作成し、自主的な研究をすすめてきました。また、保護者へ の意識調査を実施し、今日的な教育課題を明らかにするとともに、各地域で教育対話集会や学習会を行い、保護者や地域の方々と意見交換をする中で、子どもた ちの「生きる力」を育む取り組みについての合意形成をはかってきました。そして、今後も、子どもたちの学ぶ喜び・わかる楽しさを保障するため、学校・地域 の特色を生かした主体的・創造的な教育課程編成について、さらに研究をすすめていく必要があります。
 さて、本年度より学習指導要領の改訂に伴う移行措置が実施されています。小学校では外国語活動が導入されたり、小中学校ともに学習内容と授業時数が増加 したりしました。その一方で、体験的活動や課題解決などを行うことができ、「生きる力」を育むために新設されたはずの「総合的な学習の時間」は縮減されて いることからも、今回の改訂が知識偏重教育への回帰につながるのではないかと懸念されます。
 このようなときだからこそ、わたくしたちは学習指導要領を大綱的な基準としてとらえ、よりいっそう主体的・創造的に教育課程を編成して、子どもたちの 「生きる力」の育成に力を注がなければなりません。また、めまぐるしく社会情勢がうつりかわる現代、そしてこれからの時代を生きる子どもたちにとって、 「基礎・基本」と「生活・社会で生きてはたらく力」の育成が重要であることを再認識し、すべての子どもたちのために学校・家庭・地域が連携を強化して、地 域ぐるみの教育をおしすすめていかなければなりません。
 今次の教育研究活動においても、ゆとりとふれあいの中で「わかる授業・楽しい学校」の実現をめざし、「学びの質を追究し、子どもたちの学ぶ喜び・わかる 楽しさを保障する教育課程編成活動をすすめる」「学校・地域の特色を生かし、人・自然・文化などとのかかわりを大切にした創意あふれる教育課程編成活動を すすめる」の2点を研究推進の重点として提起しました。わたくしたちがすすめる教育改革は、日々の教育実践を積み重ね、その中で成長していく子どもたちの 姿で示すべきだと考えます。各分科会においては、実践研究の報告をもとにして、活発な論議を展開するとともに、その成果を各単組・各分会にもち帰り、還流 をはかっていただくことを大いに期待します。
 また、本日の特別集会では、ゆたかな学びを通して育む「生きる力」の意義、それを育むための学校・家庭・地域のあり方について愛教組から提案します。そ の後、特別講演を行い、参加者のみなさまと意見交換をし、子どもたちのよりよい育て方をともに考え、共通理解をはかる場にしたいと考えます。
 最後になりましたが、この教育研究愛知県集会が愛知の教育のさらなる推進のため、そして何よりも目の前の子どもたちの健やかな成長のために、実り多いものとなることを祈念し、本集会開会にあたっての基調報告といたします。

分科会

国語教育(文学その他)

 どのような教材で、どのように読む力をつけさせるべきかについて、提案されたリポートをもとに、討論が展開された。討論では課題設定のあり方や自主教 材を選ぶ観点、書いたものをどのように評価するかなどについて話し合われ、説明的文章の段階的かつ系統的な指導の必要性や、目の前の子どもの実態とつけた い力によって自主教材を選ぶことの大切さが確認された。

国語教育(作文その他)

 表現の指導・言語の指導を通して、目の前の子どもたちの実態を見つめて、どのような子どもを育てるのか、文字言語・音声言語のよさを生かして、どのような 力をつけていくのかについて討論が展開された。文字言語の、記録として残すことで多くの人に伝えたり、あとで読み返したりできることなどのよさや、音声表 現の、伝える目的意識をもった取り組みが重要であることが確認された。

外国語教育

 「話すこと(会話)」「小学校外国語活動」「書くこと」「話すこと(スピーチ)・学び合い」という4本の柱立てで、子ども一人ひとりの学習意欲を高め、積極的にコミュニケーションをはかろうとする態度や能力の育成をめざした地道な研究実践が数多く紹介された。

社会科教育(小学校)

 子どもたちの追究意欲を高めるために、身近な地域の産業や事象を素材として活用し、調査・体験活動の時間を保障した上で発表の仕方を工夫した実践、地域で 活躍した先人の働きや身近な政治問題を、どう教材化し、どのような社会認識を養っていけばよいかという課題に取り組んだ実践などが報告された。討論では、 子どもたちの社会認識を身につけさせるための工夫などについて、熱心に話し合われた。

社会科教育(中学校)

 子どもたちが主体的に取り組む学習活動のあり方についての実践や、社会に対する見方・考え方を深める学習指導のあり方についての実践、身近な素材を教材化 して、地域社会の問題点を取り上げ、子どもたちに切実感をもたせた話し合いを単元の中心にすえた実践、学ぶ喜びを感じることができるような学習方法を工夫 したり、社会科としての基礎・基本を大切にしたりする実践などが多く報告された。

数学教育(算数)

 「わかる・できる指導の工夫」「学び合う力の育成」「思考力・判断力・表現力の育成」「活用力の育成」の4本の柱立てで、実践の報告や討論が行われた。ど の報告からも算数の学習において基礎・基本の定着に主眼を置き、子どもが「できた・楽しい」と感じる学習展開の様子がうかがわれた。討論では、聞く力をど のようにつけるか、自分の考えをどのように表現させるかなどについて話し合われた。

数学教育(数学)

 「確かな学力の定着」「数学的な見方・考え方の育成」「自ら学ぶ力・意欲の育成」「学習形態の工夫」の4本の柱立てで、実践の報告や討論が行われた。自ら 考え、意欲的に課題に取り組もうとする子どもの育成をめざす実践をはじめ、基礎・基本を定着させる実践、また、少人数指導やグループ活動を取り入れたり、 具体的操作活動を取り入れたりするなどの指導形態や指導方法を工夫した実践など、多岐にわたる実践が報告された。

理科教育(物理・化学)

 「子どもの発達段階をふまえた教育課程編成のあり方」「自然概念形成に有効な教材・教具の開発、指導の工夫」などの柱立てのもと、討論が行われた。科学的 な思考力を養う指導方法や理科の「基礎・基本」を定着させる指導方法についての意見が出された。また、問題解決学習や有意味受容学習のタイミングや必要性 についての意見も出されるなど、活発な話し合いが行われた。

理科教育(生物・地学)

 身近な自然に目を向けさせたり、かかわらせたりする実践、話し合いにより考えをつくり上げたり、根拠をもたせたりする実践、モデルを用いることで、子ども の理解を深めさせる実践などが報告された。討論では、「基礎・基本を習得し、活用につながる理科学習のあり方」「理科と総合学習の関連」「子どもの視点に 立った教材・教具の開発」「子どもたちに、実感を伴った理解をさせる理科学習のあり方」などについて活発な意見が出された。

生活科教育

 学校・地域探検やグループ活動などを通して人とのかかわりを深める取り組みや、継続的な飼育・栽培活動、人や自然とのかかわりを通して気付きの質を高める実践が数多く報告された。
 討論では、「価値ある単元構成のあり方」「身体表現の有効性」「他教科との具体的な関連方法」「気付きの質を高める手だて」などについて活発な意見が出された。

美術教育

 「子どもが思いや考えにもとづき、表現を探求できる題材や指導法の工夫」「美術教育で育てたい力の明確化」をもとに、実践報告と総括討論が行われた。アー トカードを取り入れた鑑賞や作品の工夫を発見し合う活動や、子どもどうしの鑑賞活動を制作に結びつける実践、思いや考えにもとづき、表現方法をゆたかにす る工夫についての実践が報告された。

音楽教育

 小学校低学年では、親しみやすい楽曲や、わらべ歌などに合わせて体の動かし方を工夫したり、グループで曲の場面や歌詞の意味を身体表現したりする活動が報 告された。小学校中学年では、リコーダーを使ったタンギング指導や身近なものを使った音づくりなど器楽の基礎・基本を身につけるための実践が報告された。 小学校高学年、中学校では、合唱指導におけるブレスコントロールや頭声的発声の基本を身につけさせる実践が多く報告された。

技術教育

 生活の中で技術科が果たす役割について体験的に学ぶ実践が多く報告された。材料と加工では、導入題材の工夫や技能向上へのさまざまな手だてによって、子ど も自らが生活に必要な知識や技能を身につける学習がすすめられた。エネルギー変換では、子どもの興味を引く作品製作や実験を取り入れたことにより、達成感 や充実感を感じ、課題解決学習を展開することができた。これらの実践をもとに、具体的な討論を行うことができた。

家庭科教育

 小中学校ともに、家庭科学習を通して、よりよい家庭生活をつくり出そうとする態度や、生活を高める実践力の育成をはかる工夫がなされた実践が多くみられ た。栄養士・栄養教諭、地域や外部講師とかかわった取り組み、6年生が1年生のためにお弁当をつくるペア学習を通して互いのかかわりを深める実践、技術科 と連携をとり、幼児が喜ぶ紙芝居をつくる実践などが報告された。

保健体育(体育)

 「体育でどのような子どもを育てるか、自ら考え行動する子どもをどう育てるか」を大テーマに、「学年に応じた体力向上と技能習得」「体育学習における仲間 とのかかわりで身につけさせたいこと」を研究主題として、発表・討論が行われた。討論では、技能習得のための指導のあり方や課題設定の方法、そして、各発 達段階において育てたい力などについて、活発な意見が出された。

保健体育(保険)

 「子どもが生活の主体となるための健康教育」をテーマに、さまざまな健康課題に対応した指導の方法や教材・教具を工夫した実践、保健学習や総合学習の取り 組み、体験活動を重視した実践などが報告された。報告を通して、健康に対する意識の高まりや健康課題を解決するための実践力が着実に育ってきている様子が 感じられた。

自治的諸活動と生活指導(小学校)

 自主的・実践的な態度を育てる学級や異学年集団、児童会での実践が多く報告された。また、個の違いを認め、互いのよさを認め合う活動を通して、温かい人間 関係を築き、互いに高め合う実践も多く報告された。こうした子どもたちが行うさまざまな活動のあり方や意義について討論をすすめるとともに、子どもたちの 実態をふまえた教員の支援のあり方について熱心な討論が展開された。

自治的諸活動と生活指導(中学校)

 人権を考える活動、奉仕活動、コミュニケーション能力を高める活動を中心にすえた実践から、子どもの主体的な活動が多く見られる学級活動、生徒会活動の実 践が報告された。これらの実践報告をもとに、教員の思いや連携、個々への接し方、生徒会活動の意義などについての討論が深められた。

能力・発達・学習と評価

 子どもの実態をしっかりととらえ、子どもの意欲向上をめざした取り組みや、子どもたちに必要な自己を実現する能力の向上をめざした実践、学び合う学習集団 づくりをめざした実践が報告された。子どもの意欲向上をめざした取り組みでは、課題の提示方法を工夫した実践が報告された。学び合う学習集団づくりをめざ した取り組みでは、学習形態や子どもどうしのかかわり合い方などを工夫した実践が報告された。

特別支援教育

 「ゆたかに生きるための力を育む」というテーマのもとにリポートが報告された。子どもの学習意欲を高めるために、教材・教具を工夫した実践、人とかかわる 力やコミュニケーション能力を高めるための実践、触覚や味覚、嗅覚など五感を働かせて取り組む体験活動の実践などが報告された。

進路指導

 中学校においては、主体的に自らの将来について考え、進路選択する力の育成をめざした実践、小学校においては、自己の生き方を見つめる力を育成しようとす る実践などが報告された。どの実践も、子どもたちの「生きる力」をどのようにして育成していくかという今日的課題をテーマにした内容であり、長期間にわた る計画を立て、取り組んでいる内容が多く報告された。

教育条件整備

 「子どもの学習権の保障をどうすすめるか」を主題に、安心・安全な学校づくりにかかわる環境整備、特別な支援を要する子どもたちへの指導にかかわる条件整 備、さまざまな教科指導にかかわる条件整備、学校不適応の子どもたちへの支援体制づくりにかかわる条件整備について報告された。安心・安全な学校づくりの ために、現状や問題点をアンケートによる調査報告によってまとめたリポートや、授業実践をもとに充実した学習指導を行うための方法や形態、問題点を探るリ ポートなどが報告され、熱心な討議が行われた。

過密・過疎、へき地の教育

 地域の素材や人材を総合学習や生活科・社会科など教科に取り入れることで有効に活用し、地域のよさを発見する実践、地域の人々とのふれあいを深める実践、 離島での小中連携についての実践などが報告された。へき地ならではの学校・家庭・地域のそれぞれのよさが生かされた取り組みやへき地校の抱える問題に真摯 に取り組む姿勢から、それぞれ特色ある学校づくりへの意欲が感じられた。

環境問題と教育

 学校の水使用量調査を通して問題点をとらえさせ、水資源を大切にする方法を工夫して取り組んだ実践、発電における問題に気付かせ、近未来の発電所のあり方 を考えさせることで、エネルギー問題に取り組んだ実践、自分のお気に入りのふるさと資源を選定・調査することで、地域の自然環境に目を向けさせ、自然環境 保護に取り組んだ実践などが報告された。

情報化社会の教育

 情報化社会を生きていくために、子どもたちの情報活用能力をいかに育成するかという実践が多く報告された。また、ICTを有効に活用して、子どもたちに とってわかりやすい授業をめざした実践も報告された。さらに、昨今、社会的に喫緊の課題となっている情報モラルの育成についての実践も報告された。

読書・学校図書館

 読書の楽しみを味わわせたり、読書習慣を身につけさせたりする読書指導の実践や魅力的な学校図書館にするための継続的な取り組みなどが報告された。朝の読 書を実践する学校が増え、学校全体で読書指導に力を入れている報告も多く見られた。また、本を読んだ後に、話の続きの創作活動や目標を立てて読書をすすめ ていくなど主体的に読書にかかわっていくユニークな実践も報告された。

総合学習

 地域とかかわり地域への愛着を深める実践、身近な自然とかかわり周囲の環境に働きかける実践、さまざまな体験活動を通して、学び方や生き方を高める実践、 食育・福祉など現代社会の今日的課題に取り組む実践、国際理解や外国語活動に取り組む実践が報告された。実践の内容は多岐にわたったが、どのリポートも子 どもの実態を的確にとらえ効果的に体験活動や探究活動を行うことで、めざす子どもの姿に迫っていく様子が報告された。

カテゴリー:子どもを中心にすえた教育研究を, 教育研究愛知県集会    

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