子どもたちの健やかな成長を

21世紀をになう子どもたちのために-ともに育もう 豊かな心と 自分らしく生きる力を-

2017/10/07

第64回 愛知母と女性教職員の会

 10月7日、保護者と教職員、約250人の参加のもと、愛知母と女性教職員の会が開催されました。全体会では、提案及び講演が行われ、それらを受けて分散会が行われました。子どもたちの健やかな成長を願い、保護者と教職員が熱心に語り合いました。

 内容

女性部提案:「男女が自立し、ともに生きる力をどう育てるか」
         -自分らしく生きることを考える実践を通して- 

 小学校の実践では、友だちとのかかわりの中で互いのよさを認め合う学習や、性別にとらわれずに互いに助け合って取り組む委員会活動・係活動を通して、個々の違いにはそれぞれよさがあることに気付き、自己肯定感を少しずつ高めることができるようになった子どもの姿が報告されました。

講演【演題】   「OH!家族・学校・地域 ~子どもたちの笑顔のために~」
   【講師】   ジェフ・バーグランドさん、薫・バーグランドさん

 

 昔からアメリカの人たちは、個々の能力を大切にしながら文化を築いてきました。一方、日本には、人や地域を大切にし、和をもって築き上げてきた文化があります。このような歴史的背景もあり、日本とアメリカでは、異なった価値観をもって「子育て」をします。アメリカと日本の違いを通して、家庭と学校と地域での「子育て」について話したいと思います。

 

「自立」~発信力と受信力~

 基本的に、子どもの「自立」は、親にとって寂しいものです。「自立」という言葉を使っていますが、アメリカで本当にめざしているのは「独立」なのです。子どもに「自分一人で生きていける」という気持ちをもたせることが一番よい子育てであり、教育の一番よい結果だと考えられています。

 アメリカの親や学校の「自立」に対する考え方は、3つあると思います。

 1つ目は、責任。「自立」は責任を伴うものです。そのため、子どもには小さい頃から何らかの仕事がきちんと与えられています。

 2つ目は、発信力。自分の思っていることや考えをしっかりと言葉にして発信することは、「自立」に大きくかかわってきます。そして、この発信力は、家庭や学校で養っていくものです。

 3つ目は、お金。小さい頃から、家庭の中でごみ出しをしたり、お皿を洗ったりして自分でお金を稼ぎます。アメリカの親は、大学の授業料や生活費を出さないことが前提にあり、進学のために小学生の頃からアルバイトをする子どももいます。わたくしも、小学生の頃に芝刈りや新聞配達を行い、お金を稼いでいました。

 責任、発信力、そしてお金。アメリカでは、この3つが「自立」に大きく関係しています。

 一方で、日本はつながりや一体感を大切にするなど、アメリカとは違う価値観をもった社会であると感じました。

 日本は、人の気持ちを読み取る受信力を大切にし、アメリカは、自分から積極的に伝える発信力を大切にする。それが、48年前、来日したときに感じた日本とアメリカの違いです。

                                                                 

「違和感」こそ 

 常識というものについて、少し考えていきたいと思います。両手を前で組んで、親指を見てください。右親指か左親指か、どちらが上になっていますか。70か国、数十万人の人にやってもらうと、上になる指は、右左ほぼ同数となります。右利き、左利きは、あまり関係ありません。右親指が上になることが正解ではないのです。自分は右親指が上だから、それが正解であり、常識であるという考え方をもつ人もいると思います。しかし、それは適切な考え方ではありません。自分とは違う行動、異なる考え方を認めていくことが大切なのです。

 それでは、違う行動、異なる考え方を体験しましょう。今度は手を反対に組んでみてください。「違和感」を抱く人もいると思います。その「違和感」が、実は教育や子育ての中で一番大事なものなのです。自分の子どもや自分の学級の子どもたちが、「違和感」を抱いたときは、喜ぶべきときなのです。違う考え方、違う振る舞い方、違う存在がそこにあるという喜びを覚えなくてはいけないのです。自分の考えや常識に違和感を抱いたときが学ぶチャンスと考え、互いの違いを認め合い、違いを楽しむことが大切なのです。

 

「子育て」「人育て」「自分育て」 

 「子育て」。わが子を育てていくときに大切にしてほしいことは、日常生活の安心感です。

 「人育て」。これは、わたくしたち教員のためにある言葉だと思っています。子どもたちに、生きる力を身につけさせていくこと。知識だけではなく、仲間と一緒に生き抜く、ねばり強さを培っていくことが大切です。

 そして、大事なことは、「子育て」「人育て」に加えて、「自分育て」をしていくことです。これは、子どもたちと一緒に人生を楽しんでいくという気持ちをもつことです。少し肩の力を抜いて、もう少し「子育て」を、「人育て」を、自分自身の人生を楽しんでほしいと思います。

 わたくしたち夫婦も、これまで「子育て」「人育て」、そして「自分育て」を楽しんできました。みなさんも、「親」という字が表すように、木の上に立って見るぐらいの余裕をもって、親として、教員として、一緒に楽しみましょう。

 「子育て」を、「人育て」を、そして「自分育て」を!

 

分散会:「ともに育もう 豊かな心と 自分らしく生きる力を」

 女性部提案や講演を受けて、「自分らしく生きるとはどういうことか」「子どものために、親として教職員としてできることは」という観点で、グループ討議が行われました。

 自分らしく生きることに対しては、「人とのかかわりの中で、自分を見つめる時間が必要である」「小さい頃から一人ひとりの違い・多様性を認め合うことが大事である」などの意見が出されました。そして、目の前の子どもたちに対して、「見守る姿勢を大切にし、話をしっかり聴いて共感していきたい」「親と教職員がよい人間関係を築き、いきいきとした生活を送っている姿を見せていきたい」など、親として、教職員として、大人として、どうあるべきかを考える場となりました。
 

参加者の声 

  •  性別にかかわらず、自分の好きなことや多くの経験を通して、自分の力を生かすということを、子どもたちだけでなく大人も意識していくことが大切だと思いました。

  •  自分の子どもだけを見るのではなく、地域や学校、家庭がともに、「みんなの子ども」ととらえ、一緒になって子どもにかかわっていきたい。

  •  子どもたちが自分らしさに気付き、それを発揮するためには、互いにコミュニケーションを大切にするとともに、互いのよさを認め合うことが大事だと改めて感じました。

     

アピール採択

 最後にアピール採択委員により、集会アピールが読み上げられ、採択されました。この集会アピール文は、後日、県教育長にも提出しました。

集会アピール 

 子どもたちが夢や希望をもち、笑顔あふれる毎日を送ることができるために、わたくしたち大人は何ができるのでしょうか。

  わたくしたち愛知の母親と女性教職員は、「わが子・教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンのもと、子どもたちの幸せと健やかな成長を願い、「愛知母と女性教職員の会」に集い、話し合いを通して考えを深めてきました。

  しかし、平和にかかわる国の情勢は、スローガンに込められたわたくしたちの願いとは逆行し、近隣国の不安定な情勢など危機的な状況にあります。わたくしたちは、改めて子どもたちと平和を守るという、母女運動の原点に立ち戻る必要があるのではないでしょうか。

 子どもたちは、一人ひとり無限の可能性を秘めており、その可能性を実現するために生まれてきました。しかし、さまざまな課題を抱える現代社会において、自分のよさが見出せなかったり、よりよい人間関係を築けなかったりする子どもがいます。また、自分に自信がなく、将来の夢をもてない子どもも少なくありません。そして、それは子どもたちだけでなく、子育てや将来などに不安や悩みを抱える大人も同じです。

  子どもたちは、目の前の大人の姿を通して、将来を見つめています。21世紀をになう子どもたちのために、男女がともに、互いを尊重し合い、自分らしく輝ける社会の実現をめざして、今こそ、ここに集うすべての大人たちが手と手をとり合い、支え合っていこうではありませんか。

           

ともに語り合いましょう

       夢と希望あふれる 子どもたちのかけがえのない未来を

 ともに育んでいきましょう

       豊かな心と 自分らしく生きる力を

 そして、築いていきましょう

       互いを 尊重し合う 笑顔あふれる社会を

 

 わたくしたちは、子どもたちの幸せと健やかな成長を願い、人と人とが互いに信頼し合い、ともに自分らしく輝き続けることができる社会の実現にむけて、明るい未来を築く、新たな一歩を確実にすすめていくことをここに誓います。

 

    2017年10月7日

  第64回 愛知母と女性教職員の会

 

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