子どもたちの健やかな成長を

子どもの心とからだの健やかな成長をめざして- 解決志向の子どもを育てるためのコミュニケーション -

2013/08/24

第32回 愛教組女性部養護教員研究集会

 愛教組は、県内養護教員と単組(支部)の女性部長の参加のもと、愛教組女性部養護教員研究集会を開催しました。「子どもの心とからだの健やかな成長をめざして-ソリューションフォーカスアプローチによる子どもとのかかわり-」をテーマに基調提案・意見発表・講演会を行い、学習を深めました。

内容

基調提案:「養護教員をとりまく情勢と取り組みについて」

意見発表

講演会
【演題】「解決志向の子どもを育てるためのコミュニケーション」
【講師】ごきげんコーチング代表 鈴木安子さん

基調提案「養護教員をとりまく情勢と取り組みについて」

 養護教員の複数配置校では、多様化する子どもたちの心身の健康問題に対し、充実した対応ができています。子どもたちが安心して保健室を訪れることができ、養護教員が一人ひとりの子どもによりきめ細かな対応ができるようにするためにも、複数配置の拡大と緩和措置の継続・拡充にむけて、今後もねばり強く取り組んでいきます。

意見発表

・ 大規模校であるため、休み時間はけがや体調不良の子どもが数多く来室し、気になる子どもの話をゆっくり聞くことができません。一人ひとりの子どもにじっくりと向き合う時間を確保するためにも、複数配置基準の引き下げを望みます。

・ 本年度は児童数が減少しましたが、緩和措置により複数配置を継続できたおかげで、今まで通り子どもたちと向き合うことができています。しかし、現在の来室者や保健室登校児童の現状から考えると、単数配置に戻ったときにこれまでできていた対応ができなくなるのではないかといった不安を感じます。複数配置基準の引き下げとともに、緩和措置の継続・拡充をぜひお願いします。

・ 妊娠した養護教員の負担軽減措置を活用し、非常勤養護教員に健康診断の際、補助に入ってもらいました。しかし、非常勤養護教員には勤務内容や時間に制限があるため、体調に気を遣いながら自分一人で行わざるを得ない職務もありました。今後、非常・勤養護教員の職務条件なども含めた、制度の拡充を望みます。

 講演会
【演題】「解決志向の子どもを育てるためのコミュニケーション」
【講師】ごきげんコーチング代表 鈴木安子さん

カウンセリングとコーチング 

講演をする鈴木安子さん

 カウンセリングの場合、注目するのは相手の「気持ち」です。感情に焦点を当て、気持ちを吐き出させることでマイナスであったものをゼロにしていきます。一方、コーチングの場合、注目するのは「行動」です。相手の話を聞く中で、ある程度エネルギーが溜まったと判断できたら、「あなたは何ができるのか」という具体的行動変容を促す問いかけをし、次の1歩をすすむ力、ゼロからプラスをつくり出す力をつけさせていきます。コーチングが最終的にめざすのは、自分の力で自分のことができるようにする、いわゆる「自立」です。

ソリューションフォーカス(解決志向)アプローチとは 

 ソリューションフォーカス(解決志向)アプローチとは、問題の「解決」に集中する手法のことです。目の前に問題があり、それを解決しようとする場合、まず問題の「原因」を追究しないと前にすすまないと考えがちですが、ソリューションフォーカスアプローチは、そこにとらわれることなく、本来の目的である、問題の「解決」に焦点を当てていくという発想からきています。
 これは、問題の「原因」に集中することに比べて、①シンプルである②短時間で結果が出る③どこでも誰でも使える④安全である(相手を傷つけない)という4つの特徴があります。ソリューションフォーカスアプローチを行うために相手と話をする(ソリューショントーク)際に焦点を当てる領域として、①欲しい未来像②リソース(長所やうまくいっていることなど)③次の小さな1歩(スモールステップ)の3つがあります。

問題志向と解決志向

 ある問題にむかうとき、原因に焦点を当てる「問題志向」の考え方では、過去を振り返り、「何が悪かったか」「何を直すべきか」という原因探しや理由づけを行うため、欠点ばかりが目について問題が複雑になり、解決するというよりは問題を分析することに終始してしまうことが多くなります。
 一方、欲しい未来像に焦点を当てる「解決志向」の考え方では、未来を見つめ、「何ができるか」「何がうまくいっているか」と具体的にめざすところを明確にすることで、長所に目が向き、次にどうすればよいかを単純に考えることができるようになります。
 「解決志向」で大切なのは、相手に問題を解決する力が備わっていることを、わたくしたち自身が認識することです。そうでなければ「こちらが何とかしてあげなくては」という思考になってしまい、その結果、相手がうまくいかなかったとき、他人や環境などのせいにしてしまいがちになります。しかし、何か1つでも自分にできることが見つかると、それが自信になって1歩すすむことができるようになるのです。

「OKルート」を開通させよう

 わたくしたちの意識は、多くのことを一度にとらえるのは苦手であるため、会話の焦点をどこにもっていくかが重要になります。「どうしてそうなったんだろう」という過去を振り返る『WHY』の質問を続けていると、意識は自然と未来を否定することにつながりがちになります。逆に、「どうしたらすすめそう?」という『WHAT』『HOW』の質問は、「これならやれそう」「こうすればすすめそう」という、未来を肯定することへとつながっていきます。こういったことを繰り返すことで、意識の流れがよい方向へと変化していきます。これが「OKルート」です。

カウンセリングステップからコーチングステップへ

 はじめて話を聞くときには、カウンセリングステップから入るのがよいでしょう。ラポール(信頼関係の構築・受容と共感)とペーシング(相手のペースに合わせる)の繰り返しを基本に、相手に寄り添いながら話を聞きます。
 その後はコーチングステップへとすすみます。OKルートを開通し、解決にむけた作戦会議を行う中で、欲しい結果を得るために何ができそうか、具体的なプランを構築していきます。その際のポイントは、肯定的な意味づけを行うことと、本人の主体的な意識をもった行動を引き出すことです。

【ソリューションフォーカス三原則】

① よい点、できている点に焦点を当てよう。

② うまくいっていることを見つけてそれをもっとやろう。

③ うまくいっていないことはやめて何か違うことをやろう。

【ソリューションフォーカス的名言集】

○ プラスの眼鏡で人を見よう。

○ 肯定こそ変化を生み出す。

○ 変化はいつも起こっている。

○ 物事を見るのに唯一の正しいとらえ方は存在しない。 

 参加者の声

・ 解決志向で会話することで未来を変える手助けができることを、講演中に隣の席の人と行った演習を通じて実感することができました。これからは学校でも家庭でも、解決志向でコミュニケーションをとっていきたいです。

・ 普段、無意識のうちに問題志向でのアプローチをしていたことに気付かされました。子どもが物事を肯定的にとらえられるように、解決志向でのアプローチを実践していきたいと思います。 

 

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