子どもたちのいのちと未来を守る アピール文-学校・家庭・地域が心をひとつに-
2013/10/19
第63次教育研究集会愛知県集会の特別集会において、「子どものいのちと未来を守る アピール文」が採択されました。かけがえのない子どもたちのいのちと未来を守るため、わたくしたち一人ひとりにできることを改めて考え、ともに実践していきましょう。
カテゴリー:更新情報, 教育研究愛知県集会<特別集会>, 子どもたちの健やかな成長を
2013/10/19
第63次教育研究集会愛知県集会の特別集会において、「子どものいのちと未来を守る アピール文」が採択されました。かけがえのない子どもたちのいのちと未来を守るため、わたくしたち一人ひとりにできることを改めて考え、ともに実践していきましょう。
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2013/10/19
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現在、各学校では子どもたちの健やかな成長を願い、日々教育活動に取り組んでいます。
これまでの62次にわたる教育研究において、わたくしたちは夢と希望あふれる教育の創造をめざし、子どもたちを中心にすえ、それぞれの学校・地域の特色を生かした、自主的・主体的な研究を行ってきました。また、保護者への意識調査を実施し、今日的な教育課題を明らかにするとともに、各地域で教育対話集会などを行い、保護者や地域の方々と意見交換をする中で、子どもたちの「生きる力」を育む取り組みについての合意形成をはかってきました。
さて、政権交代による変革の波は、教育分野にも大きく及ぼうとしています。とりわけ、本年度、すべての中学校第3学年と小学校第6学年で行われた「全国学力・学習状況調査」については、結果の公表などにより、学校・地域の序列化につながっていくことが危惧されます。競い合いを容認しようとする動きは、知識偏重教育への回帰と言わざるを得ません。
学力は、単なる知識の量としてはかるものではなく、今までに得た知識や経験をもとに、自ら課題を見つけ、判断し、行動する力、学ぶ意欲も含めた総合的な力でなければなりません。そのためにも、「生きる力」をゆとりとふれあいの中でじっくりと育んでいかなければなりません。
わたくしたちは、すべての子どもたちに「生きる力」を育むために、学校・家庭・地域の連携をよりいっそう強化し、地域ぐるみの教育をすすめていく必要があります。学習指導要領をあくまでも大綱的基準としてとらえ、基礎・基本の確実な定着はもちろんのこと、学びの質の向上をめざす中で、子どもたち一人ひとりの意欲を大切にし、学ぶ喜び・わかる楽しさを保障することが重要と考えます。そして、子どもたちが地域の一員としての自覚をもち、人・自然・文化などとふれあいながら、自ら課題を見つけ、判断し、行動する力を身につけることができるよう、地域に根ざした学校現場からの教育改革を推進していく必要があります。
今次の教育研究活動においても、ゆとりとふれあいの中で「わかる授業・楽しい学校」の実現をめざし、「学びの質を追究し、子どもたち一人ひとりの意欲を大切にした、学ぶ喜び・わかる楽しさを保障する教育課程編成活動をすすめる」「学校・地域の特色を生かし、人・自然・文化などとのかかわりを大切にした創意あふれる教育課程編成活動をすすめる」の2点を研究推進の重点として提起しました。わたくしたちがすすめる教育改革は、日々の教育実践を積み重ね、その中で成長していく子どもたちの姿で示すべきだと考えます。各分科会においては、実践研究の報告をもとにして、活発な議論を展開するとともに、その成果を各単組・分会にもち帰り、還流をはかっていただくことを大いに期待します。
また、本日の特別集会では、子どもたちの現状や最近の教育をめぐる情勢をふまえ、-力と夢を育てる 地域ぐるみの学校づくり-と題して、記念講演を行います。学校・家庭・地域それぞれが主体性をもって、どのように子どもたちの学びや育ちを支えていくかについて、参加者のみなさまとともに考え、共通理解をはかる場にしたいと考えます。
最後になりましたが、この教育研究愛知県集会が愛知の教育のさらなる推進のため、そして何よりも目の前の子どもたちの健やかな成長のために、実り多いものとなることを祈念し、本集会開会にあたっての基調報告といたします。
分科会の様子
説明的文章10本と、文学的文章34本のリポートが報告された。目の前の子どもたちの実態を見つめた地道な実践が多く、どのような教材で、どのように読む力をつけるべきかについて、報告されたリポートをもとに討論が展開された。
作文(綴り方)の教育23本と、言語の教育2本、音声表現の教育20本のリポートが報告された。目の前の子どもたちの実態を見つめて、どのような子どもを育てるのか、文字言語・音声言語のよさを生かして、どのような力を育てていくのかについて討論が展開された。
今次は、「小学校外国語活動」「読む・書く活動」「コミュニケーション活動」「ICT機器の活用」の4つの柱ごとに全員発表の形式で行われた。
小学校第5・6学年における「外国語活動」の必修化の実施から3年目を迎えたこともあり、小学校での実践が多く発表され、小中の効果的な接続のための指導のあり方について活発な意見交換が行われた。
身近な地域の産業や事象を教材化したり、学習活動を工夫して子どもたちの追究意欲を高めようとしたりした実践が報告された。 また、社会に主体的にかかわっていこうとする意識を高めることに取り組んだ実践が報告された。
討論では、ねらいに迫るために有効な学習活動の工夫や育てたい社会認識について、熱心に話し合われた。
子どもたちが主体的に取り組む学習活動のあり方についての実践や、社会に対する見方・考え方を深める学習活動のあり方についての実践が報告された。
学ぶ意欲を高めるための学習活動を工夫した実践や、学ぶ意欲を持続させ、子どもが主体的に課題を追究していく実践、地域素材をはじめとする身近な素材を教材化し、子どもの社会認識を深め、社会に参画していこうとする意識を育む実践が多く報告された。
「思考力・判断力・表現力の育成」「わかる・できる指導の工夫」「学び合う力の育成」の3つの柱立てで、実践の報告や討論が行われた。どの報告も目の前の子どもを中心にすえ、子どもの力を伸ばしたいと感じることのできるものであった。
討論では、自力解決に至るまでの指導の工夫や表現力を高めるためにはどのような手だてが有効なのかについて議論され、活発な意見交換が行われた。
「確かな学力の定着」「数学的な見方・考え方の育成」「学習形態の工夫」「自ら学ぶ力・意欲の育成」の4つの柱立てで、実践の報告や討論が行われた。自ら学び、主体的に取り組む子どもの育成を主眼としたリポートをはじめ、教材・教具の工夫、子どもの追究意欲が高まるようなICTを利用した実践、魅力ある課題やその掲示の工夫及び数学的活動を通して子どもの自発的な活動を引き出した実践など、多岐にわたる実践が報告された。
研究主題の「子どもの発達段階をふまえた教育課程編成のあり方」「自然概念形成に有効な教材・教具の開発、指導の工夫」「単元における『ものづくり』の扱い方」「基礎・基本の習得と評価のあり方」「理科教育の意義」を柱立てに、40本のリポート報告にもとづきながら、テーマ別討議や全体討論が活発に行われた。
身近な自然に目を向けさせ教材化する実践、飼育・栽培活動を継続的に行う実践、マクロな自然現象のモデル化により子どもたちの理解を深める実践、条件や視点を明確にし、共有することで考えを深める実践などが報告された。
討論では「基礎・基本を重視するカリキュラムのあり方」「地域の素材・人材の教材化」「子どもの視点に立った教材・教具の開発」「子どもたちに理科の有用性を実感させる指導のあり方」などについて活発な意見が出された。その中で、科学的な事実を理解するためには、用語の意味を正確にとらえることと、それらを使って文を構成する力を養うことが重要であることが確認された。
また、近年では地学分野での実践が少なくなっており、今後は地学分野の実践にもっと取り組む必要があるということも確認された。
地域の自然や人々とのかかわりを深める実践、試行錯誤しながら、おもちゃづくりを通して工夫することの楽しさに気付く実践、自分の思いや願いをもって栽培活動に取り組む実践が多く報告された。
多くの実践は、伝え合いや話し合いを通して、主体的に動ける子どもを育てることや、子どもたちの気付きの質を高めることをねらいとしたものであった。
「美術教育を通して子どもたちに伝えたいこと」をテーマに実践報告や討論がすすめられた。
総括討論では、授業の中で教員が感じていることや子どもたちの実態に迫る論議を通して、本年度のテーマを深めることができた。
「体験不足」「自信がもてない子ども」「発想を豊かにする難しさ」などの課題となる実態を認識し、「試行錯誤しながら、自分たちで問題を解決していく姿」や「他教材や地域社会とのかかわりから、興味や関心を深めていく姿」などの子どもたちの可能性に目を向けた話し合いが行われ、子どもたちに身につけさせたい力とは何かを考えることができた。
音楽の授業におけるコミュニケーションのあり方、子どもの意欲や子どもがもつ力をのばすためのよりよい教材選択や指導方法の工夫をテーマに討論をすすめた。また、音楽の学習における「楽しさ」についても考えを深めることができた。
小学校低学年では、リズムや拍の流れを身体表現や音楽遊びで感じ取る活動や、そのような活動で身につけたリズム感や拍感を歌唱表現に生かす実践が多く報告された。
小学校中学年では、歌唱表現の基礎・基本を身につけ、自分の思いや意図を表現する実践や、音楽のしくみを支えとした音楽づくりの実践が報告された。
小学校高学年では、要素に着目しながら鑑賞し、感じ取ったことを歌唱や器楽、音楽づくりに生かす実践が多く報告された。
中学校では、歌詞や作曲者の意図に着目してより深く楽曲を理解し、それを歌唱表現に生かした実践が多く報告された。
知識や技能を習得し、生活に生かす実践が多く報告された。材料と加工では、試作を行い、自分の作品のイメージをもたせる実践、作業時間の差を少なくして、時間内に作業を完成することで達成感を味わわせる実践が報告された。エネルギー変換では、蒸気タービンカーを製作し、効率的な発電を追究する実践、学習課題を小集団で追究することで意欲的な話し合いができた実践が報告された。生物育成では、三十日大根を教室で栽培した実践、簡易水田をつくり、生育環境を追究した実践が報告された。情報と技術では、複数のメディアを適切に選択し、受け手にわかりやすく伝えることを意識した実践、スモールステップで学習をすることで、プログラムの理解を深めた実践が報告された。これらの実践をもとに、具体的な討論を行うことができた。
子どもの興味・関心から対話や討論を積極的に取り入れた実践が数多くみられた。また、実験や実習、調査活動を取り入れ、その手順と理由をていねいに追究する実践も報告された。また、生活を主体的につくる資質や能力を育むための実践や、生活をしっかり受け止め、それを現代的な生活課題として認識することを出発点とした実践、持続可能な社会の一員として豊かでよりよい生活をめざしていく気持ちを高めることに取り組んだ実践などが報告された。これらの実践をもとに、具体的な討論を行うことができた。
「体育でどのような子どもを育てるか、自ら考え行動する子どもをどう育てるか」を大テーマに、次の点を研究主題として、発表・討論が行われた。
⑴ かかわり合いを大切にした授業づくり
⑵ 学年に応じた体力向上と技能習得
どのリポートにも、指導方法の工夫や仲間とのかかわり方に関するさまざまな工夫のある実践が報告された。討論では、技能習得のための指導法などについて、活発な意見が出された。
「子どもが生活の主体となるための健康教育」をテーマに、さまざまな健康課題に対応した指導方法や教材・教具を工夫した実践、保健学習や総合学習の取り組み、体験活動を重視した実践などが報告された。報告を通して、健康に対する意識の高まりや健康課題の解決にむけての実践力が着実に高まってきている様子が感じられた。
「たくましく生きる子どもを育てよう」をテーマとして、活発な討論がなされた。
子どもたちのよりよい人間関係を築くために、学級や学年、異学年交流を通して活動する実践が数多く報告された。また、子どもたちが自分自身を見つめ、自ら課題を見つけて取り組むことで、達成感や成就感を味わい、豊かな人間性を身につけていく実践も報告された。その他にも、全校体制で子どもたちの基礎的な学習規律や生活習慣を高め、学級活動や行事、係活動などを通して子どもたちの成長をめざす実践も報告された。
これらの実践報告をもとに、子どもたちの活動のあり方や意義、子どもたちの実態のとらえ方やそれをふまえた教員の支援のあり方について熱心な討論が展開された。
「たくましく生きる子どもを育てよう」をテーマに、活発な討論がなされた。
人権について考える実践や外国籍の子どもの育成に関する実践、学級活動や学校行事を生かしながら、個と集団の力を高める活動や生徒会活動、家庭・地域との連携を通じて子どもの成長をめざす実践が報告された。
これらの実践報告をもとに子どもたちの実態をふまえた支援のあり方について議論が深められた。
家庭や地域と連携し、命について考えることで、子どもの自己有用感を深める実践や地域の特色である景観について学習することで、郷土への誇りや愛着を深める実践、少人数指導やグループ活動など、一人ひとりの学びを大切にした学習指導の実践などが報告された。
自らの考えを表現する力を高めるための取り組みでは、ICT機器を効果的に活用し、表現したいという意欲を高める実践や、子どもがクリアファイルやホワイトボードシートを活用する実践が報告された。
「豊かに生きるための力を育む」というテーマのもとに61本のリポートが報告された。
子どもの教育的ニーズを的確に把握し、学習意欲を高めるような教材・教具を工夫した実践、子どもの現在や将来の生活に直接結びつく力を身につけさせるための実践、人とかかわる力やコミュニケーション能力を高めるための実践などが報告された。
小学校では、コミュニケーション能力の育成や自己肯定感の高揚をめざした実践が報告された。行事や学級活動の中で、これらの力を高めていくことの必要性が確認された。
中学校では、職場体験学習を軸として、事前・事後の指導を系統的に行っていく実践が多数報告された。働くことの意義などについて事前に考えさせることで、職場体験学習がより有意義なものになることが確認された。
「子どもの学習権の保障のために」を主題に、ICT教育にかかわる条件整備、さまざまな教科指導にかかわる条件整備について報告された。
ICT機器の利用状況や問題点をアンケートによる調査でまとめた実践や、ICT機器を授業の中で効果的に取り入れ、子どもたちの学びを深めた実践が報告された。また、中学校で必修となった武道の実態や課題をアンケートによる調査でまとめた実践、保健指導における実践を通して環境面で整えるべき条件整備についての報告も提案され、熱心な討論が行われた。
生活科を通して、友だちや地域とのかかわりを深める実践、へき地における地域素材や人材を積極的に活用した実践、離島における少人数指導と、小中連携推進事業を取り入れた学習指導の実践など、4本が報告された。
地域の自然や伝統文化を生かした職場体験学習を通して、地域の特色やよさを見つめ直させるとともに、地域とのかかわり合いを深めることで、地域に生きる人の思いに迫らせた実践、少人数指導だからこそできる指導を工夫したり、島の特色を生かした小中連携教育を推進したりすることで、基礎・基本を定着させた実践などが報告された。いずれのリポートも、へき地校の抱える問題点を考慮しながらも、小規模校の利点を生かし、地域素材や人材を活用した実践の報告がなされた。
自分にできる栽培活動を通して環境問題と向き合っていく実践、学校だけでなく家庭や地域、外部講師などとのつながりを大切にしながら環境問題解決にむけ、学びを深めていく実践など、各学校の特色や実態をふまえながら取り組まれた実践が、小学校から1本、中学校から6本報告された。
子どもたちの環境に対する意識を高め、よりよい環境づくりに目を向けさせ、確かな実践力や行動力の育成をめざした実践に力を入れている様子が感じられた。
教科などの授業でICT機器や教育用コンテンツを有効に活用することにより、学習意欲や学習理解の向上をはかりながら学習のねらいに迫っていく実践が報告された。
また、取り上げる題材や発表の場・対象を工夫することにより、必要な情報を主体的に収集・整理し、相手を意識した情報発信をするといった情報活用能力を育成する実践も報告された。
さらに、実際に起きているインターネット上の問題点に着目し、子どもの実態にあわせて情報モラルの意識や態度を育てる実践も報告された。
子どもを中心にすえたICT実践を学び考えることができた実り多い議論になった。
学校間・地域間で差はあるものの、図書館の環境整備や公共図書館との連携をすすめながら、読書に親しませる実践が行われている。
しかし、学級担任兼司書教諭という立場で、多忙のなか、図書館の管理運営や読書指導を広めていくことの難しさがあることが討論を通してわかった。
読書に継続的に取り組めるように、読書活動、図書館の管理運営に関する実践、発達段階に応じた図書資料を活用した調べ学習などの「生きる力」を育む実践などが数多く報告された。
地域の特色を生かして教育課程を自主編成し、子どもたちに「生きる力」と地域への愛着や誇りを育んだ実践が数多く報告された。また、子どもたちに身につけさせたい力を明らかにして、人とのかかわりや教科との関連を生かしながら、めざす子どもの姿に迫った実践も多く、子どもたちの変容の様子が報告された。さらに、ESDやキャリア教育、福祉、食育といった今日的課題を取り上げ、子どもたちが主体的に課題に取り組めるように工夫された実践が報告された。時間数が削減された中でも、各学校で確かな実践がすすめられていることが感じられた。
カテゴリー:更新情報, 教育研究愛知県集会 →2022年以降の記事は愛教組連合ホームページへ, 子どもを中心にすえた教育研究を
2013/10/19
特別集会では、奈良文化女子短期大学幼児教育学科長教授の善野八千子さんを講師としてお招きし、記念講演、参加者との意見交流を行いました。
善野さんからは、「力と夢を育てる 地域ぐるみの学校づくり」と題してお話をいただきました。学校間の縦の接続、家庭・地域社会との横の連携をはかりながら、子どもたちに生涯学び続ける力である「生きる力」を育むために必要なことについて、ご示唆をいただきました。本集会を通して、子どもたちの健やかな成長のために、学校・家庭・地域が連携した教育活動の重要性について、再確認し合うことができました。
本日は「子どもたちの健やかな成長をめざして」という大きなテーマのもと、力と夢を育てるという視点で、地域と一緒になって学校づくりをすすめることについてお話をしていきます。
未来を担う人間の発達から教育を考えると、人はかけがえのない命をいただいた受胎に始まり、幼・小、小・中、そして中・高と連続して育っていきます。その中で、保育者や教育者などの大人と出会い、社会人となり、やがて生涯学び続ける「生きる力」をもった人間へと成長していきます。
今、目の前にいる子どもたちは、未来へとつながるプロセスの中で、わたくしたちがたまたま出会っているだけなのです。しかし、この子どもたちが、やがて家庭の教育力をもった一人の親となり、ゲストティーチャーや地域の見守り隊など、地域の教育力をもった大人へとなるのです。そういう壮大なサイクルの中に、目の前にいる子どもたちはいるのだという認識をもって、子どもたちとかかわっていくことが必要だと考えます。
【資料1】のように、「子どもは学び育ち、成長するもの」にもかかわらず、目の前の子どもの姿のみにとらわれてしまうことも多いかと思います。そこで、過去の学びと未来の育ちの通過点にある子どもを、地域の中で線としてつなぎ、どのように面へと広げていくかということを考えなければなりません。そのためには、幼児教育と義務教育の相互理解や、家庭・地域との相互理解などが必要となります。
この中で、幼児教育、義務教育、さらには高校、大学、大学院へとすすんでいくことが、いわゆる学校教育という縦の軸、つまり「縦の接続」です。そして、学校教育と家庭教育、地域社会が一体となっていくこと、これが教育の連携性という横のつながり、つまり「横の連携」です。
教育の一貫性という観点から考えると、現在、各学校種のつながりをもつ「縦の接続」が十分ではないと言われています。その中でも、幼小接続が大きな課題となっています。今こそ「地域の子ども」という意識をもって、教育の連携性・一貫性を考えてみることが大切なのではないでしょうか。
教育における接続というのは、例えて言うならば「のりしろ」です。就学前の子どもや保護者にとって、3月のカレンダーをめくり4月になったら「入学だ!」と思っているとします。しかしながら、小学校の教員は4月からのカレンダーしかなく、保育者は3月のカレンダーが終わったら区切りをつけ、次にまた新しい4月のカレンダーを見るわけです。そうではなく、子どもの成長が連続しているという「のりしろ」をつけるのは、もちろん各学校種の保育者・教員であり、先生方と家庭・地域の方々で行うものなのです。みなさん一人ひとりが当事者意識をもって、知恵を出し合うだけではなく、自ら実践者となっていかなければなりません。そして、その中から「地域の子ども」がどうあってほしいのか、どんな姿をめざしていくべきなのか、考えることにつながっていきます。
【資料2】の左上の写真は、そろえて脱いである一足の靴です。次に、左下の写真はこの子どもが幼稚園に行った時の姿ですが、「靴をそろえなさい」と言わなくてもすすんでトイレのスリッパをそろえていました。また、右下の写真のように、この幼稚園の靴箱はどの子どもも名前の標示にかかとをそろえて入れています。そして、右上は、この地区の中学校3年生の靴箱です。誰一人としてかかとをふんでいる靴はありません。このような子どもたちの姿というのは、どのように連続して育っていくのでしょうか。
【資料3】の図で示したように、教育というものは、現在の子どもの姿からめざす子どもの姿にするということです。そのためには、こんな子どもに育てたいというビジョンが必要です。そのためには、リサーチが必要です。今の子どもたちのよさ・弱点・課題などをしっかりととらえた上で、目標を設定し、実践をすすめていきながら、その実践を通していかに目標に近づけたかを評価し、また、それを改善するためにはどのような計画が必要かということを繰り返し考えていきます。いわゆる、PDCAというサイクルの中での取り組みです。
教員のみなさんは、日々の教育活動に真摯に取り組まれており、PDのD(実践)の部分は一生懸命がんばっておられます。しかしながら、P(目標・計画)の部分をどれだけ意識されているか、また、職場においてどれだけ全体共有しているか、さらには、家庭や地域にどれだけ伝え、共有しているかということが重要であると考えます。
教育活動は、意図的、計画的、そして継続的な営みです。意図をもって計画しなければ、それは実現していきません。そして、プランというのは、いつまでにどれだけのことをするかという一つの数値目標であり、具体的にみえる姿でなければなりません。このプランを学校と家庭・地域が一緒になってどのような目標をつくっていくのかということがたいへん重要なのです。
これからの学校に求められるには、次の5点であると考えます。
1.コンプライアンス(法令順守)の徹底
2.地域協働のマネジメント
3.学校評価を生かした改善
4.学力向上の具体的発信と実行
5.教職員の資質向上・行動変容
この中でも、地域協働のマネジメントですが、学校教育にかかわる者は、まず目の前の子どもたちが地域を支える大人へと成長していく「地域の宝」であるという意識をもたなければなりません。そして、地域にいるすばらしい人材、もう既に地域の中にいる貴重な応援団をどれだけ知っているかという立場で、学校側から地域の方々とつながっていくというマネジメントが大切です。
次に、学校評価についてですが、例えば、レストランで「ご満足いただけましたか」などという大ざっぱなアンケートに答えるとします。仮に不満足と答えるだけではレストラン側にも真意が伝わらず、不満に思っている点が変わらなければ、答えることに意味を感じなくなります。学校評価も同様で、学校側が何を問いたいかが重要なのです。「本校はこのようなところをがんばっています。この点についてはどうですか」というように、問いかけたい視点をはっきりさせることが大切です。学校が主体となってアンケートの項目をつくり、学校が誇りとすること、そして、「こんな子どもを育てたいと考えていますが、ご家庭においてはどうですか」などと問いかける項目をつくっておくことで、学校の考えも家庭に伝え、PDCAのサイクルに家庭の力も生かしていく、それが、本当の意味での「評価を生かした改善」というものになるのではないでしょうか。
また、学力向上の具体策ですが、学力とは一部の偏ったものとしてとらえているのではなく、「学ぶ」ということは学び方を教えることであり、生き方を教えることです。そのために、学校としては「現在こういうことに取り組んでいます」という具体的な学びのプロセスを伝えなければいけません。明日に子どもたちが急に変化するものではないからこそ、「このような取り組みを継続しています」というプロセスとその具体策を情報発信していくということがなくてはならないと考えます。
また、これらをすすめていく上では、学校教育や家庭教育においても、クイックレスポンスが大切であると言われます。当たり前のことや些細なことであっても、お互いに返し合っていくということが大切なのです。なぜならば、すぐに返事が来ないと、現代の多くの家庭では、小さな不安がすぐに大きな不満になり、あっという間に不信につながります。しかし、すぐにこんな子どもに成長しましたといえるわけでもありません。だからこそ、「今、こういうことに取り組んでいる途中です」ということをしっかりと伝え合うことが必要だと思います。
家庭での子育てにおいて「しつけ」という言葉があります。漢字では「身が美しい」と書くので、これを躾という言葉の意味にされるようですが、本来「しつけ」というのは、日本古来の文化の中で、着物を仕立てるときの「仕付け糸」からきた言葉です。一定の形を整えていくために仮の縫い方をする。これが「仕付け糸」です。ですから、「仕付け糸」はある時期が来たら、外されるものなのです。
人として最初の段階で、あるべき姿を整えるために、家庭が中心となり、幼児教育と重なり合って幼い子どもたちに身につけさせていくのです。それが十分でなければ、小学校教育でも「しつけ糸」を外せないのです。中学校教育でもまだ「しつけ糸」はついているのです。そして、本当に外せるときが来たら、その「しつけ糸」を外せばよいのです。子ども自身から外すこともあるでしょう。また、君はもう外してもいいねと知らせる時期が来るのかもしれません。まだ、その時期が来ていない子どもに対しては、しつけについて、家庭教育から学校教育にやや重点をスライドさせていくことも必要です。さらには、どんな「しつけ糸」を共通でつけようとするのかということを話し合い、共通理解のもと、あるべき姿を明確にしたビジョンをつくっていくことが大切です。
学校にはいろいろな電話がかかってきますが、めったによいことではかかってきません。学校や子どもに関心のある方ほど、よく電話をかけてきます。ある学校にこんな電話がかかってきました。「暑いなか、子どもを守ろうと思って、見守り隊で立ってるのに、あいさつ一つできないじゃないか。どういう教育をしてるんだ」というお叱りの内容です。そんなときは、すぐに謝ってはいけません。お礼を言いましょう。いただいた電話に対して謝るのは、事実確認をしてからです。「どういう状況でしょうか」と聞いていくと、よくわかってきます。実は、その子どもたちは、先日「知らない人から声をかけられたり話しかけられたりしても、相手にしてはいけない」という安全指導の話を聞いたばかりだったのです。
それから、学校と地域でアクションプランを立てました。子どもたちを守ってくれている人だとわかるように安全パトロール隊の方々に水色のジャンパーを配ったのです。そうするとかかってくる電話の中身が変わってきます。「先生、いつもなかよく帰るあの二人組が、この一週間いつも毎日ばらばらで帰ってくる。どうも気になるから、話を聞いてやってくれないか」という電話です。顔と名前が一致するようになる中で、かかってくる電話の中身が変わってきたそうです。
学校への関心がどんどん膨らんでいくなか、地域住民へ「学校の子どもたちのどんなことが育っていますか」「このことについてはどうですか」というようなアンケートを実施し、学校側は改善にむけての取り組みをすすめていきました。
この学校は、年度末に学校評価結果報告会と授業参観を同時に開催しています。そこでは、「年度当初にこんな子どもを育てたいと考え、取り組んできました。その結果、みなさんにはこう見えているようです」というPDCAにもとづいた報告がされます。また、「取り組んでいるけれどもうまく伝わっていないようなので、もっとこんな伝え方をしたいと考えます」という現在進行形の返し方もあります。「実は、気がつきませんでした。ご意見をいただき、ありがとうございます」という場合もあるでしょう。
これは、地域の教育力の中で、学校が変わっていきながら、学校や子どもたちを支える地域のサポーターがどんどんと増えたという事例です。
わたくしがみなさんにお伝えしている学校・家庭・地域の連携や学校評価、幼小中連携などは方法でしかありません。これらはあくまでも方法論であって、本来の目的は「明日も行きたい学校・園づくり」であり、子どもたちが幸せになるための成長の保障や、学力の保障、そして「生きる力」を育むことであると考えます。小・中が連携したり、評価を生かして学校と地域が一緒に協力をしたりすることは、子どもたちを育てていくためのコミュニケーションツールであるということを忘れてはいけません。
ですから「どんな子どもをめざすのか」というビジョンをもとにしたプランを立てた上で、愛知県の特色ある教育課程や各学校のカリキュラムの中に、これらの方法を生かしていくことが大切なのです。さらに言えば、実はこれだけでは曖昧なのです。「本校の子どもたちは元気な子どもが多く、・・・」という紹介をよく聞きますが、「どれぐらい元気ですか」と問い返すと、案外答えられないことが多いです。だからこそ、めざす子ども像を具体的に示した『数値目標』も効果的です。例えば、「昨年よりも欠席者がこれだけ減ってきました」「体力面ではこんなけがをする子が減ってきました」「保健室で手当てを受ける子がこれだけ減りました」「本園の年長児は、全員が登り棒のてっぺんまで登ることができます」などです。いろいろな視点で、具体的な目標をいつまでにどれだけというプランを立て、学校全体で取り組んでいくことで、学校のよさをより明確に語れるようになるわけです。数値結果を恐れる必要はありません。すばらしい目標をめざす中で、『数値目標』は状態や変化を実感しやすいものであり、思い込みではない子どもたちの姿を客観的に伝える際に有効な一つの手段であると考えていただけるとよいです。
地域にはさまざまな考えをもった方がいますから、客観的にずれたクレームであったとしても、それは要求があるということです。学校教育への願いは、みなさん違います。それらの要求の根底にあるものを引き出し、つなぎ、巻き込んでいくことで、それらの『相違』を『総意』へと合意形成していくことが必要です。そして、本当に大切なのは、無関心層への働きかけです。授業を参観されていた方々に学校の教育活動へさまざまな形で参加してもらうことです。そうした取り組みを通して、「こんな学校をつくってほしい」「こんなふうに学校にかかわらせてほしい」など、学校教育への参画意識を培っていくことが必要です。そして、学校・家庭・地域が手を携え、よりよいものを創造していく力となるのです。このような『創意』がつくられるとき「地域ぐるみの学校づくり」ができるのではないでしょうか。
最後になりましたが、学校教育を行う側・支える側という関係ではなくて、一緒になって地域が誇れる子どもたちを育てていただきたいと思います。子どもたちはやがて地域の教育力をもった仲間になるんだという思いで、わたくしたち大人は子どもの学びのお手本としてかかわっていくことが大切であると思います。
○ 保護者
昔は今のような命にかかわるようないじめなどというのはなかったように記憶しています。子どもたちをとりまく環境も変わっていますが、わたくしたち大人にも何か足りないことがあるのではないかと思います。子どもたちに命の大切さや相手を思いやる心を育んでいくためには、保護者として、どんなことを心がけていけばよいのでしょうか。
○ 善野先生
わたくしは、あらゆる場面を通して「命はリセットできない」ということを語り、伝えていかなければならないと考えます。その一方で「節目節目で、生活と性格はリセットしよう」とも言います。それが入学時であったり、進級時であったりしますが、これらが一つの節目だと思います。家庭の中においては、誕生日だと思います。一人ひとりの子どもたちのかけがえのない命が誕生したときのことを「あなたが生まれたときにはこんな幸せな思いでみんなが喜んだのよ」ということを子どもたちに伝える日にしていただきたいと思います。それは親にしか伝えられないことです。「命はリセットできない」ということをしっかり伝えていただきたいと思います。
○ 教員
わたくしは、担任しているクラスの子どもたちに命の大切さを常々伝えています。学校として、家庭や地域と連携して子どもたちに命の大切さを伝えるような具体的な実践例などがありましたら、教えてください。
○ 善野先生
わたくしは、「命の重さ」より「命のはかなさ」を日頃から伝えていくことが重要だと考えます。教育の中で「命の重み」を伝えきることは、なかなか難しいですが、「命ってこんなに壊れやすいものなんだよ、はかないものなんだよ」ということはあらゆる場面で伝えることができます。そのため、伝えることが必要だと考えます。
例えば、小学校における生活科や総合学習の中で、保護者に声をかけ、壊れそうなかけがえのない命の象徴としての赤ちゃんをゲストに迎えるという取り組みがあります。自分自身が歩んできた過去を振り返らせることで、子どもたちに、自分もこういう時期があったとか、命ってこんなにもみんなから祝福されているものなんだということを伝えることができます。また、地域からお腹に赤ちゃんがいるお母さんを招き、出産を控えた状況の中での不安や喜びや期待を語っていただくという学習を継続的に取り組んでいる小中学校もあります。中学校や高等学校においては、地域の幼稚園・保育園と連携して、保育実習を行っているところも多いようです。
カテゴリー:更新情報, 教育研究愛知県集会<特別集会>, 子どもたちの健やかな成長を
2013/10/05
愛教組は、保護者と教員約270人の参加者を得て、「愛知母と女性教師の会」を開催しました。女性部提案と講演の後、5つの分散会に分かれて「豊かな心とは」「自分らしく生きるとは」「子どものために親として大人としてできることは」などについてグループ討議をしました。
小学校の実践では、「見方や考え方を広げ、前向きに生活できる子をめざして」をテーマに、学級で互いのよさや違いを認め合う活動や、家族との対話の中で自分に対する思いを聞く活動を通して、自分のよさや大切さに気付き、自信がもてるようになった子どもの姿が報告されました。
中学校の実践では、「互いのよさを認め合いながら生活する中で、自分らしさを大切にできる子をめざして」をテーマに、男女混合のグループ学習の中で、互いのよさを生かすことができるように役割を分担して活動し、一人ひとりのよかったところを発表し合う活動を通して、男女で協力する大切さを実感し、互いに認め合うようになった子どもの姿が報告されました。
心も身体も、すべてにいろいろなかかわりがあって、人は育まれます。普段、当たり前と思っていることでも、改めて心で感じてみると、思いが変わってくるのではないかと思います。
・「いただきます」
みなさんは、食事をする前や、お茶やお水を口にするときに「いただきます」の言葉を口に出していますか。レストランに入ったとき、あるいは一人で食事をするときであっても、何かを口にするときには「いただきます」の言葉をかけたいものです。「いただきます」とは、命を「いただく」ということなのです。
食事でいただく野菜やお米は、人間がつくり出していると錯覚しがちです。しかし、例えば畑で収穫できる作物に対して人間がしていることは、畑を耕し、畝をつくり、種を蒔くところまでです。あとは、大地や、太陽、空気など、自然が育ててくれています。このように考えれば、人間は、自然が育ててくれている作物を、「お裾分け」してもらっていることになります。そう考えると、感謝の気持ちがわいてくるものです。
・「ありがとう」
食事のときに「いただきます」と声をかけることで、そのものの命に「ありがとう」、そして、それを育ててくれた自然に「ありがとう」という、目に見えない感謝の心が育まれます。感謝の心は、想像する心を育み、自然に対してだけでなく、動物や人への思いやりの心を育みます。
・「おいしい」
食べ物を口に入れたときに、思わず「おいしい」という言葉が出ることがあると思います。このとき、言葉の語尾を上げ、唇の口角を上げて言ってみてください。心が穏やかになることが実感できると思います。また、大人が「おいしいね」と言っている顔を見ると、子どもは安心し、自然と心穏やかに育ちます。
・「大好き」
「大好き」という言葉を口にしていますか。「大好き」とは「あるがままのあなたを受け入れて守ります」という思いが込められた言葉です。周りの人に、名前を呼んで「大好き」と声をかけてみてください。その人の心は、穏やかな温かさでいっぱいになるはずです。それは自分に対しても同じです。自分自身に対しても「大好き」と声に出して言葉をかけてみてください。
・「ごちそうさまでした」
食事が終わったときの「ごちそうさま」の後に「でした」をつけることは、意外に少ないのではないでしょうか。この三文字をつけることで、けじめの心が育ちます。
これらのように、こういった言葉を声に出して言い続けることで、目には見えない部分で、自分を磨き、成長させることができます。これらの言葉の大切さを、次の世代に繋いでいきたいものです。
わたくしはかつて、自分のことが好きになれず、自分を否定してばかりいました。そして、自律神経失調症などの病気になってしまい、眠れない日が続きました。
そんなある日、お店で料理を運んでいると、「あなたのその手、よく働いた手だね。その手を見ると、あなたがどんな仕事をしてきたかわかるよ」と言ってくださったお客様がみえました。手はわたくしのコンプレックスで、人前に出すのは嫌いでした。しかし、そのお客さまの言葉で、『この手がなかったら物を持つことも、つかむこともできない』ということに気付き、涙がこぼれてきました。自分で自分を大切にしなくてはいけないと思い直し、その日から、手、足、そして目や鼻など体のいろいろなところに「ありがとう」と声をかけて眠りにつくようにしました。すると不思議なことに、よく眠れるようになり、病気のことも、いつのまにか気にならなくなりました。心のもち様一つで、心と体が元気になっていくのを実感した出来事でした。
自分自身に対して、ほめる言葉をたくさんかけてください。日々の生活の中に埋もれている当たり前のことを、一つ一つ言葉にして自分にプレゼントするのです。自分の声と言葉によって、自分を認め、信頼することができるようになり、何かに挑戦するときには、自信にもなります。また、自分の心の中がほめる言葉でいっぱいになっていると、相手をほめる言葉が自然と出てきます。
どんなにすばらしい料理でも、心がつらいと感じているときには、おいしくいただくことはできません。心身ともに健やかだから、おいしくいただくことができるのです。
一人ひとりの存在は、かけがえのないものです。人を本当に慈しみ、大切に思う心を育むことは、同時に、自分自身を育むことにもつながります。
ぜひ、違った自分と出会い、すてきな自分を見つけ、育んでください。そして、子どもたちが同じように自分を育むことができれば、それは子どもたちの夢や希望につながると信じています。
女性部提案や講演を受けて、5つの分散会に分かれ、21世紀をになう子どもたちのために、保護者として、教員として、何ができるかについて話し合いました。
分散会での話し合いの後、意見交換をしながら得たことを、「これから私は!宣言」としてまとめました。
最後にアピール採択委員により、集会アピールが読み上げられ、採択されました。この集会アピール文は、後日、県教育長にも提出しました。
わたくしたち愛知の母親と女性教師は、「わが子・教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、子どもたちの健やかな成長を願い、「愛知母と女性教師の会」に集い、話し合いを深めてきました。
子どもたちは、無限の可能性を秘めており、その可能性を現実のものとするために生まれてきました。わたくしたち親と教師の願いは、子どもたちが、未来に夢や希望をもち、それにむけて笑顔あふれる毎日を送ることです。しかし、さまざまな問題を抱える現代社会の中では、人間関係が希薄になってきている影響もあり、自分に自信がもてなかったり、よりよい人間関係が築けなかったりする子が少なくありません。そして、子どもたちだけでなく、子育てに不安や悩みを抱え、問題を抱え込んだり、自信をなくしたりしている親や教師もいます。
子どもたちは、目の前の大人の姿を通して、将来を見つめています。子どもたち一人ひとりが自分のよさをみつけ、自分らしく輝きながら生きるためには、わたくしたち大人が互いのよさを認め合い、一人ひとりを尊重し合う、愛があふれる社会をつくっていかなければなりません。
今こそ、わたくしたち大人が手をとり合い、支え合っていこうではありませんか。子どもたちが多くの人々とつながり合い、認め合い、自分らしく生きていくことができるように、すべての大人が力を合わせて、子どもたちを育んでいきましょう。
ともに語り合いましょう
夢と希望あふれる子どもたちの未来を
ともに育んでいきましょう
自分らしく 輝きながら生きる力を
そして、築いていきましょう
お互いを認め合うことのできる 愛があふれる社会を
未来をになう子どもたちのために、人と人とが互いに信頼し合い、ともに自分らしく生きることができる社会の実現をめざして、心ひとつにし、確かな歩みをすすめていくことをここに誓います。
2013年10月5日
第60回 愛知母と女性教師の会
カテゴリー:更新情報, 愛知母と女性教師の会 →2022年以降の記事は愛教組連合ホームページへ, 子どもたちの健やかな成長を
2013/09/05
愛教組は、スポーツ・文化的活動は、本来、生涯学習という観点から地域を主体として行われるスタイルが望ましいと考えます。部活動における外部指導者のさらなる配置拡大などを含めたスポーツ・文化的活動のあり方を検討するとともに、総合型地域スポーツクラブをはじめとした社会教育活動の充実を求めていきます。
2008年度よりはじまった文部科学省の委託事業である「地域スポーツ人材活用実践事業」が、2012年度から「運動部活動地域連携再構築事業」と名称を改め、実施されています。これを受け、愛知県は地域のスポーツ人材を、各校からの依頼に応じて外部指導者として配置しています。(その他、市町村の予算による配置もあります)
(2013愛教組青年部実態調査より)
(2013愛教組青年部実態調査より)
※総合型地域スポーツクラブは、2013年12月現在、愛知県では、54市町村中46市町村で131のスポーツクラブが活動しています。
カテゴリー:更新情報, 子どもたちの健やかな成長を, スポーツ・文化的活動のあり方について
2013/09/03
愛教組は、これまでも子どもたちの健やかな成長をめざし、夢と希望あふれる教育の創造にむけて教育改革運動を推進してきました。学校現場では、人・自然・文化などとのかかわりを通して、さまざまな事柄に関心をもち、すすんで課題解決しようとする子どもたちの姿が見られるなど、教育実践の成果があげられています。また、教育研究愛知県集会特別集会や各地区における教育対話集会、教育実態総合調査などを展開し、教育課題の克服にむけた手だてなどについて保護者・県民との対話や共通理解につとめてきました。また、豊かな教育を創造する県民会議とも連携して、啓発活動を強化してきました。
こうした取り組みの経過をふまえ、2013年度の教育改革運動については、これまで通り「子どもたちの健やかな成長をめざす取り組み」を中心にすえ、夢と希望あふれる教育の創造にむけて、保護者・県民・教育関係者とともに学校・課程・地域との協働を見据え、それぞれの連携を強化し、地域ぐるみの教育改革をすすめていきます。
そのために、以下の3点を教育改革運動の重点として掲げ、教育制度・教育内容の改革をはかる運動を強化していきます。
カテゴリー:子どもたちのための教育改革を, みんなで教育改革を
2013/09/03
「生きる力」とは、基礎・基本の習得はもちろんのこと、今まで得た経験や知識をもとに、自ら課題を見つけ、判断し、行動できる力、学ぶ意欲も含めた総合的な力です。
「生きる力」を育むゆとりとふれあいのある教育を行うためには、学校・家庭・地域が手を携え、地域ぐるみの教育をすすめていくことが大切です。
愛教組は、地域ぐるみの教育をすすめるため、それぞれの連携強化をはかっています。
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
カテゴリー:子どもたちのための教育改革を, みんなで教育改革を
2013/09/03
2011年4月に30年ぶりに学級編制標準が引き下げられ、小学校第1学年の35人学級が法制化されました。愛知県においては、県独自措置によって小学校第2学年と中学校第1学年において35人学級が継続実施されています。(2013年度現在)
しかし、いじめや不登校などが社会問題となっており、その対応は喫緊の課題となっています。
愛教組は、すべての子どもたちにきめ細かな教育を保障するため、人的配置を含めた教育条件整備を求めています。
(2012年度 愛教組による教員の意識調査より)
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
(OECDインディケータ 2012年度版より)
カテゴリー:子どもたちのための教育改革を, みんなで教育改革を
2013/09/03
愛教組は、進学を希望するすべての子どもたちの願いをかなえるために、望ましい入試制度のあり方について協議・検討をすすめています。また、子どもたちの多様な希望や個性に応えるために、魅力と特色のある高校教育の実現を求めています 。
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
(2012年度 愛教組による保護者の意識調査より)
カテゴリー:子どもたちのための教育改革を, みんなで教育改革を
2013/08/24
愛教組は、県内養護教員と単組(支部)の女性部長の参加のもと、愛教組女性部養護教員研究集会を開催しました。「子どもの心とからだの健やかな成長をめざして-ソリューションフォーカスアプローチによる子どもとのかかわり-」をテーマに基調提案・意見発表・講演会を行い、学習を深めました。
講演会
【演題】「解決志向の子どもを育てるためのコミュニケーション」
【講師】ごきげんコーチング代表 鈴木安子さん
養護教員の複数配置校では、多様化する子どもたちの心身の健康問題に対し、充実した対応ができています。子どもたちが安心して保健室を訪れることができ、養護教員が一人ひとりの子どもによりきめ細かな対応ができるようにするためにも、複数配置の拡大と緩和措置の継続・拡充にむけて、今後もねばり強く取り組んでいきます。
・ 大規模校であるため、休み時間はけがや体調不良の子どもが数多く来室し、気になる子どもの話をゆっくり聞くことができません。一人ひとりの子どもにじっくりと向き合う時間を確保するためにも、複数配置基準の引き下げを望みます。
・ 本年度は児童数が減少しましたが、緩和措置により複数配置を継続できたおかげで、今まで通り子どもたちと向き合うことができています。しかし、現在の来室者や保健室登校児童の現状から考えると、単数配置に戻ったときにこれまでできていた対応ができなくなるのではないかといった不安を感じます。複数配置基準の引き下げとともに、緩和措置の継続・拡充をぜひお願いします。
・ 妊娠した養護教員の負担軽減措置を活用し、非常勤養護教員に健康診断の際、補助に入ってもらいました。しかし、非常勤養護教員には勤務内容や時間に制限があるため、体調に気を遣いながら自分一人で行わざるを得ない職務もありました。今後、非常・勤養護教員の職務条件なども含めた、制度の拡充を望みます。
カウンセリングの場合、注目するのは相手の「気持ち」です。感情に焦点を当て、気持ちを吐き出させることでマイナスであったものをゼロにしていきます。一方、コーチングの場合、注目するのは「行動」です。相手の話を聞く中で、ある程度エネルギーが溜まったと判断できたら、「あなたは何ができるのか」という具体的行動変容を促す問いかけをし、次の1歩をすすむ力、ゼロからプラスをつくり出す力をつけさせていきます。コーチングが最終的にめざすのは、自分の力で自分のことができるようにする、いわゆる「自立」です。
ソリューションフォーカス(解決志向)アプローチとは、問題の「解決」に集中する手法のことです。目の前に問題があり、それを解決しようとする場合、まず問題の「原因」を追究しないと前にすすまないと考えがちですが、ソリューションフォーカスアプローチは、そこにとらわれることなく、本来の目的である、問題の「解決」に焦点を当てていくという発想からきています。
これは、問題の「原因」に集中することに比べて、①シンプルである②短時間で結果が出る③どこでも誰でも使える④安全である(相手を傷つけない)という4つの特徴があります。ソリューションフォーカスアプローチを行うために相手と話をする(ソリューショントーク)際に焦点を当てる領域として、①欲しい未来像②リソース(長所やうまくいっていることなど)③次の小さな1歩(スモールステップ)の3つがあります。
ある問題にむかうとき、原因に焦点を当てる「問題志向」の考え方では、過去を振り返り、「何が悪かったか」「何を直すべきか」という原因探しや理由づけを行うため、欠点ばかりが目について問題が複雑になり、解決するというよりは問題を分析することに終始してしまうことが多くなります。
一方、欲しい未来像に焦点を当てる「解決志向」の考え方では、未来を見つめ、「何ができるか」「何がうまくいっているか」と具体的にめざすところを明確にすることで、長所に目が向き、次にどうすればよいかを単純に考えることができるようになります。
「解決志向」で大切なのは、相手に問題を解決する力が備わっていることを、わたくしたち自身が認識することです。そうでなければ「こちらが何とかしてあげなくては」という思考になってしまい、その結果、相手がうまくいかなかったとき、他人や環境などのせいにしてしまいがちになります。しかし、何か1つでも自分にできることが見つかると、それが自信になって1歩すすむことができるようになるのです。
わたくしたちの意識は、多くのことを一度にとらえるのは苦手であるため、会話の焦点をどこにもっていくかが重要になります。「どうしてそうなったんだろう」という過去を振り返る『WHY』の質問を続けていると、意識は自然と未来を否定することにつながりがちになります。逆に、「どうしたらすすめそう?」という『WHAT』『HOW』の質問は、「これならやれそう」「こうすればすすめそう」という、未来を肯定することへとつながっていきます。こういったことを繰り返すことで、意識の流れがよい方向へと変化していきます。これが「OKルート」です。
はじめて話を聞くときには、カウンセリングステップから入るのがよいでしょう。ラポール(信頼関係の構築・受容と共感)とペーシング(相手のペースに合わせる)の繰り返しを基本に、相手に寄り添いながら話を聞きます。
その後はコーチングステップへとすすみます。OKルートを開通し、解決にむけた作戦会議を行う中で、欲しい結果を得るために何ができそうか、具体的なプランを構築していきます。その際のポイントは、肯定的な意味づけを行うことと、本人の主体的な意識をもった行動を引き出すことです。
① よい点、できている点に焦点を当てよう。
② うまくいっていることを見つけてそれをもっとやろう。
③ うまくいっていないことはやめて何か違うことをやろう。
○ プラスの眼鏡で人を見よう。
○ 肯定こそ変化を生み出す。
○ 変化はいつも起こっている。
○ 物事を見るのに唯一の正しいとらえ方は存在しない。
・ 解決志向で会話することで未来を変える手助けができることを、講演中に隣の席の人と行った演習を通じて実感することができました。これからは学校でも家庭でも、解決志向でコミュニケーションをとっていきたいです。
・ 普段、無意識のうちに問題志向でのアプローチをしていたことに気付かされました。子どもが物事を肯定的にとらえられるように、解決志向でのアプローチを実践していきたいと思います。
カテゴリー:更新情報, 子どもたちの健やかな成長を, 愛教組連合養護教員研究集会 →2022年以降の記事は愛教組連合ホームページへ