子どもたちの健やかな成長を

21世紀をになう子どもたちのために-育もう 豊かな心と 自分らしく生きる力を-

2013/10/05

第60回 愛知母と女性教師の会

 愛教組は、保護者と教員約270人の参加者を得て、「愛知母と女性教師の会」を開催しました。女性部提案と講演の後、5つの分散会に分かれて「豊かな心とは」「自分らしく生きるとは」「子どものために親として大人としてできることは」などについてグループ討議をしました。

内容

女性部提案:「男女が自立し、ともに生きる力をどう育てるか」
         -自分らしく生きることを考える実践を通して- 

 小学校の実践では、「見方や考え方を広げ、前向きに生活できる子をめざして」をテーマに、学級で互いのよさや違いを認め合う活動や、家族との対話の中で自分に対する思いを聞く活動を通して、自分のよさや大切さに気付き、自信がもてるようになった子どもの姿が報告されました。
 中学校の実践では、「互いのよさを認め合いながら生活する中で、自分らしさを大切にできる子をめざして」をテーマに、男女混合のグループ学習の中で、互いのよさを生かすことができるように役割を分担して活動し、一人ひとりのよかったところを発表し合う活動を通して、男女で協力する大切さを実感し、互いに認め合うようになった子どもの姿が報告されました。

参加者の声
  •  成長とともに、男女が分かれてグループになることが普通だと思っていましたが、将来、男女が協力して社会生活を送っていくためには、子どもの頃からそれが自然だという生活を送る必要があるということに気付かされました。 (保護者)
  •  学校と家庭との連携で、子どもは安心したり、自信をもったりして、成長できることがわかりました。また、実践の中で、子どもたちが、職業の適性に性別は関係ないという見方ができるようになったところがすばらしいと思いました。(教員)

講演【演題】   「育み はぐくまれ」
   【講師】   木村まさ子さん

心と身体のかかわり 

 心も身体も、すべてにいろいろなかかわりがあって、人は育まれます。普段、当たり前と思っていることでも、改めて心で感じてみると、思いが変わってくるのではないかと思います。

大切な食事と言葉

講演をする木村まさ子さん

・「いただきます」
 
みなさんは、食事をする前や、お茶やお水を口にするときに「いただきます」の言葉を口に出していますか。レストランに入ったとき、あるいは一人で食事をするときであっても、何かを口にするときには「いただきます」の言葉をかけたいものです。「いただきます」とは、命を「いただく」ということなのです。
 食事でいただく野菜やお米は、人間がつくり出していると錯覚しがちです。しかし、例えば畑で収穫できる作物に対して人間がしていることは、畑を耕し、畝をつくり、種を蒔くところまでです。あとは、大地や、太陽、空気など、自然が育ててくれています。このように考えれば、人間は、自然が育ててくれている作物を、「お裾分け」してもらっていることになります。そう考えると、感謝の気持ちがわいてくるものです。

・「ありがとう」
 食事のときに「いただきます」と声をかけることで、そのものの命に「ありがとう」、そして、それを育ててくれた自然に「ありがとう」という、目に見えない感謝の心が育まれます。感謝の心は、想像する心を育み、自然に対してだけでなく、動物や人への思いやりの心を育みます。

・「おいしい」
 食べ物を口に入れたときに、思わず「おいしい」という言葉が出ることがあると思います。このとき、言葉の語尾を上げ、唇の口角を上げて言ってみてください。心が穏やかになることが実感できると思います。また、大人が「おいしいね」と言っている顔を見ると、子どもは安心し、自然と心穏やかに育ちます。

・「大好き」
 「大好き」という言葉を口にしていますか。「大好き」とは「あるがままのあなたを受け入れて守ります」という思いが込められた言葉です。周りの人に、名前を呼んで「大好き」と声をかけてみてください。その人の心は、穏やかな温かさでいっぱいになるはずです。それは自分に対しても同じです。自分自身に対しても「大好き」と声に出して言葉をかけてみてください。

・「ごちそうさまでした」
 食事が終わったときの「ごちそうさま」の後に「でした」をつけることは、意外に少ないのではないでしょうか。この三文字をつけることで、けじめの心が育ちます。

  これらのように、こういった言葉を声に出して言い続けることで、目には見えない部分で、自分を磨き、成長させることができます。これらの言葉の大切さを、次の世代に繋いでいきたいものです。

自分を認めるということ

 わたくしはかつて、自分のことが好きになれず、自分を否定してばかりいました。そして、自律神経失調症などの病気になってしまい、眠れない日が続きました。
 そんなある日、お店で料理を運んでいると、「あなたのその手、よく働いた手だね。その手を見ると、あなたがどんな仕事をしてきたかわかるよ」と言ってくださったお客様がみえました。手はわたくしのコンプレックスで、人前に出すのは嫌いでした。しかし、そのお客さまの言葉で、『この手がなかったら物を持つことも、つかむこともできない』ということに気付き、涙がこぼれてきました。自分で自分を大切にしなくてはいけないと思い直し、その日から、手、足、そして目や鼻など体のいろいろなところに「ありがとう」と声をかけて眠りにつくようにしました。すると不思議なことに、よく眠れるようになり、病気のことも、いつのまにか気にならなくなりました。心のもち様一つで、心と体が元気になっていくのを実感した出来事でした。

ほめる言葉で心を満たそう

 自分自身に対して、ほめる言葉をたくさんかけてください。日々の生活の中に埋もれている当たり前のことを、一つ一つ言葉にして自分にプレゼントするのです。自分の声と言葉によって、自分を認め、信頼することができるようになり、何かに挑戦するときには、自信にもなります。また、自分の心の中がほめる言葉でいっぱいになっていると、相手をほめる言葉が自然と出てきます。
 どんなにすばらしい料理でも、心がつらいと感じているときには、おいしくいただくことはできません。心身ともに健やかだから、おいしくいただくことができるのです。
 一人ひとりの存在は、かけがえのないものです。人を本当に慈しみ、大切に思う心を育むことは、同時に、自分自身を育むことにもつながります。
 ぜひ、違った自分と出会い、すてきな自分を見つけ、育んでください。そして、子どもたちが同じように自分を育むことができれば、それは子どもたちの夢や希望につながると信じています。 

参加者の声
  •  素直に言葉に出してほめることによって、子どもにやる気や自信を与え、自分が認められていると感じさせることができることを学びました。これからは、ほめ言葉を口に出していきたいです。 (保護者)
  •  時間に追われ、心に余裕のない生活を送ってきましたが、これからは、少しずつでも余裕をもって子どもに接したいと思います。そして子どもをよく見て、よいところをほめていきたいです。 (教員)

分散会:「育もう 豊かな心と 自分らしく生きる力を」

 女性部提案や講演を受けて、5つの分散会に分かれ、21世紀をになう子どもたちのために、保護者として、教員として、何ができるかについて話し合いました。

参加者の声
  •  人とのかかわりの中で、相手を受け入れ、思いやり、痛みがわかる心を育てることが大切だと感じました。(保護者)
  •  自分らしく生きるために、自分自身で考え、行動することができる力を育てたいと思います。(教員) 

「これから私は!宣言」

 分散会での話し合いの後、意見交換をしながら得たことを、「これから私は!宣言」としてまとめました。

  •  家庭を肯定的な言葉であふれさせ、すべての人に「ありがとう」という感謝の気持ちをもって過ごしていきたいです。(保護者)
  •  父母で協力して子どもを育てていきたいと強く思いました。仕事と家庭の両立につとめていきたいと思います。(保護者)
  •  自分らしく生きている姿を、子どもたちに見せたいと思いました。いろいろな人の話を聞き、人生経験を積むことで、自分らしさを磨いていきたいと思います。(教員)

アピール採択

 最後にアピール採択委員により、集会アピールが読み上げられ、採択されました。この集会アピール文は、後日、県教育長にも提出しました。

集会アピール

 わたくしたち愛知の母親と女性教師は、「わが子・教え子を再び戦場に送るな」のスローガンのもと、子どもたちの健やかな成長を願い、「愛知母と女性教師の会」に集い、話し合いを深めてきました。
 
 子どもたちは、無限の可能性を秘めており、その可能性を現実のものとするために生まれてきました。わたくしたち親と教師の願いは、子どもたちが、未来に夢や希望をもち、それにむけて笑顔あふれる毎日を送ることです。しかし、さまざまな問題を抱える現代社会の中では、人間関係が希薄になってきている影響もあり、自分に自信がもてなかったり、よりよい人間関係が築けなかったりする子が少なくありません。そして、子どもたちだけでなく、子育てに不安や悩みを抱え、問題を抱え込んだり、自信をなくしたりしている親や教師もいます。
 
 子どもたちは、目の前の大人の姿を通して、将来を見つめています。子どもたち一人ひとりが自分のよさをみつけ、自分らしく輝きながら生きるためには、わたくしたち大人が互いのよさを認め合い、一人ひとりを尊重し合う、愛があふれる社会をつくっていかなければなりません。

 今こそ、わたくしたち大人が手をとり合い、支え合っていこうではありませんか。子どもたちが多くの人々とつながり合い、認め合い、自分らしく生きていくことができるように、すべての大人が力を合わせて、子どもたちを育んでいきましょう。

 ともに語り合いましょう
          夢と希望あふれる子どもたちの未来を

 ともに育んでいきましょう
          自分らしく 輝きながら生きる力を

 そして、築いていきましょう
          お互いを認め合うことのできる 愛があふれる社会を

 未来をになう子どもたちのために、人と人とが互いに信頼し合い、ともに自分らしく生きることができる社会の実現をめざして、心ひとつにし、確かな歩みをすすめていくことをここに誓います。

 2013年10月5日
第60回 愛知母と女性教師の会

 

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