子どもたちの健やかな成長を

子どもの心とからだの健やかな成長をめざして- 心を癒す名人になるワザ -

2015/11/26

第34回 愛教組女性部養護教員研究集会

 愛教組は、県内養護教員と単組(支部)の女性部長の参加のもと、愛教組女性部養護教員研究集会を開催しました。「子どもの心とからだの健やかな成長をめざして-心を癒す名人になるワザ-」をテーマに基調提案・意見発表・講演会を行い、学習を深めました。

内容

 

基調提案:「養護教員をとりまく情勢と取り組みについて」

 

講演会
【演題】「心で聴こう子どもの言葉、心で観よう子どもの姿~豊かな人間関係を築くコミュニケーション~」
【講師】Kids Firstカウンセリング代表 中本久美さん

基調提案「養護教員をとりまく情勢と取り組みについて」

 子どもたちの心身の多様な健康問題に対し、複数配置校では、養護教員が役割を分担し、状況に合わせて効果的な対応をすることができたという例が多数報告されています。

 養護教員が子どもたちによりきめ細かな対応をするためにも、複数配置の拡大と養護教員にかかわる制度の拡充にむけ、今後もねばり強く取り組んでいきます。

 

 講演会
【演題】「心で聴こう子どもの言葉、心で観よう子どもの姿 ~豊かな人間関係を築くコミュニケーション~」養護教員研究集会
【講師】Kids Firstカウンセリング代表 中本久美さん

 

「むかつく」ってどういう気持ち?

「むかつく!」

 子どもたちはよくこの言葉をつかう。しかし、この言葉に込められた「怒り」とは二次的な感情である。この「怒り」の下にどんな一次的な感情があるのかということに、わたくしたちも、子どもたち自身も、まず気付かなければならない。

 「いやだ」「苦しい」「悲しい」「辛い」「切ない」など、これらの一次的な感情に子ども自身が気付かないことが、自分の感情をコントロールすることを妨げる原因となっている。そのために、わたくしたちは、子どもたちが自分自身の気持ちに気付けるように話を聴く必要がある。

 

まずは、「安心感」をもたせる

 子どもたちに自然な愛情と優しさを注ぎ、一緒に過ごす時間を大人も楽しむことで、「安心感」をもたせたい。

 そのためには、言葉による言語的コミュニケーションだけでなく、身振りや手振り、アイコンタクト、表情、あるいは食事や遊びなど一緒に何かをするといった、非言語的コミュニケーションが欠かせない。安心感があるからこそ、はじめて人の話に耳を傾けることができるようになる。

安心できると、自分を表現できるようになる。

 

「どうせ言ってもむだ!」どう返事をする?

 自分を表現する方法は多様である。否定的な言葉で自分を表現する子どももいる。

 子どもに話しかけたとき、「どうせ言ってもむだだ!」などと否定的な返事をされた場合には、次の順で言葉をかけていくとよい。

 一 繰り返す

  「言ってもむだだと思うんだね」

  子どもの言葉をそのまま繰り返す。

 二 言い換える

  「話したくないんだね」

  子どもの言葉を、同じ意味の別の言葉で表現する。

 三 気持ちを汲む

  「わかってくれないって思うんだね」

  発言の奥にある子どもの感情を子どもに示す。

 この三つを「能動的な聴き方」と言う。子ども自身が自分の問題を見つめて解決することにつなげる聴き方である。子どもは、こちらからの言葉がけに応じることによって、自分の気持ちを客観的に振り返ることができる。

自分自身の気持ちに気付くことで、自分の問題を見つめることができ、解決にむかって考えられるようになる。

 

「わたしは」を主語に

 子どもたちに、こちらの気持ちを伝えるためには、安心できる場で、ある程度時間をかけることが大切である。そして、どんなときも気をつけたいことは、「わたしは」を主語にして話をすることである。

 「あなたは」を主語にすると、「あなたは遅い」など、問題が子どもにむけられる。そのため、子どもは「叱られた」「馬鹿にされた」と感じてしまい、こちらの気持ちが正しく伝えられない。しかし「わたしは」を主語にすると、「わたしは、あなたが遅いと心配なんだよ」と、相手に自分の思いを伝えることができる。

 相手が自分を理解してくれると思うことで、もっと理解してもらいたい、もっと伝えようという気持ちになる。

 

子ども自身が「わたしっていいな」と思えるように

 「何かあったら言ってね」ではなく、何かあったときに、いつでも何でも言えるような関係を築いておくことが大切である。

 こうした安心感のある関係の中で、自分の気持ちを表現していくことで、自分自身を理解し、受け入れられるようになる。また、「できないことがある自分はいけない」と思わせないようにすることも大切である。

できること、できないこと、全部を含め、「あなたっていいな」と伝え、肯定的な自己理解の形成を促すことが必要である。

 

自分を大切だと思う子は・・・

 自己肯定感があって、はじめて他者を受け入れることができる。他者とのかかわりの中で、自分が必要とされていると感じると、自分は価値ある人間だと思えるようになる。

自分を大切だと思っている子どもは、周りの子も大切だと思える。

 

この子の力を信じる

 子どもとのかかわり方を理解してはいても、いつもうまくやり取りができるとは限らない。しかし、常に、どの子も大切な存在であるという思いをもち、そして「この子には力があるのだ」と信じて、話を聴くことが重要である。

だれもが大切な存在であると認識しつつ、子どもの可能性を信じ、「能動的な聴き方」で話を聴くようにしていくことが大切である。そして、聴くことによって子どもたちが安心でき、自分自身で問題解決の方法を見つけられることにつながるのである。

 

 

 

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