みんなで教育改革を

子どもを民主的な主体として育てるために(上智大学総合人間科学部教授 澤田 稔先生)

2016/08/31

第33回教育改革拡大学習会

 第33回教育改革拡大学習会では、上智大学総合人間科学部教授の澤田稔先生にご講演をいただきました。子どもを中心にすえた教育課程編成にむけてわたくしたちはどうあるべきかご示唆いただき、今後の教育改革の方向性について学習を深めました。

澤田稔先生

 

 

 

 

 

 

 

講師:上智大学総合人間科学部教授  澤田 稔先生

社会の変化という観点から見た現代の教育改革

 文科省は、社会が変わった以上、学校はそれに従って求められる人材を育てろと言っているように感じる。しかし、わたくしたちは、子どもたちが将来生きていく社会がより望ましくなるように、また、その望ましい社会を担える子どもを育てたい、そう思って教育に携わっている。

 それでも、社会が変わるということは、その社会に求められる人物像が変化するということである。物質的に貧しく、耐久消費財もまだ普及していなかったようなころは、規格化・標準化された商品を大量につくるための労働力が必要とされており、皆が同じような考え方をする、共通性が多い時代であった。ところが、物質的な豊かさが達成された1970年代になると、多様化した価値観、より多様なニーズに対応するため、多品種の物をつくり出すことが求められるようになった。そのため、マニュアルに頼らず自分で解決していける人材が求められるようになった。このように、社会の変化により求められる人材や能力は変化していく。つまり、教育の変化の背景には、社会状況の変化があるのである。

 新しい知識が社会のあらゆる領域で重要性を増してきており、多くの重要な知識を変化、更新する必要がある。学び直しの基盤となるような学習意欲、新たな状況で自ら学ぶ経験、ともに学び合うことの重要性が増している。このようなときだからこそ、自らの知識や経験を活用して新たなアイデアを生み出したり、新たな局面に対応したりすることができる力、まさに「生きる力」を身につけた人材が求められるのである。

より望ましい社会の実現をめざす教育改革

 「アクティブ・ラーニング」は、社会の変化に伴って先進各国共通に求められている変化である。小中学校においてはすでに実践されており、改めて示すほどのことではないが、「アクティブ・ラーニング」を意味がないものと考えることは、社会の変化を否定することにもなってしまう。しかし、「アクティブ・ラーニング」を浸透させるためには、まずそれを行うための教員の余裕が必要であり、そのような環境が整えられない限り、学校現場は困惑するだけである。 

子どもを「学びの主体」として育てるための実践論

 「アクティブ・ラーニング」で一番大事なのは、中身が問題解決学習となっているかどうかである。できる限り、日常的で現実的な問題であることや、話し合いをする意味を感じられるような問題であることが大切である。そして、子どもたち一人ひとりの実態に応じてカリキュラムをつくり、取り組むことが何よりも大切である。そのためにも時間的なゆとりが必要である。一人ひとりの存在が肯定される、承認される空間をつくっていくことが、今後、大事になってくる。社会に受け入れられているという基盤があるからこそ、その社会をよくするために自分もできることをやりたいという民主的な雰囲気が生まれてくる。

 子どもたちが主体的に学ぶということが求められる現状ではあるが、「子どもが主体として生きていく」ということは、「民主主義的な社会を支える子どもたちを育てていく」ということである。だからこそ、わたくしたち教員はその理念を大切にしなくてはならない。子どもたちの実態や成長にもとづくカリキュラムをつくり上げていき、教員どうしが実践を共有できるような機会が増えていくことを願っている。

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