みんなで教育改革を

『ゆとり教育』の真実とこれからの学校教育(京都造形芸術大学教授 寺脇 研さん)

2013/05/08

第30回教育改革拡大学習会

 第30回教育改革拡大学習会では、京都造形芸術大学教授の寺脇研先生にご講演をいただきました。わたくしたちは、教育の不易の部分に目を向け、常に子どもたちを中心にすえた、学校・地域発信の教育改革を行っていかなければなりません。今後わたくしたちが取り組むべき教育改革運動の方向性について学習を深めました。


  講師:京都造形芸術大学 寺脇 研先生

「ゆとり教育」の真実と「学校週5日制」

 「ゆとり教育」は、1984年に始まった臨時教育審議会での提案がルーツであり、従来の知識偏重型の教育から、体験や課題解決を大切にする教育をめざして導入された。

 学校週5日制は、慎重な議論のもと、10年をかけて導入された。その結果、子どもが地域とかかわることができるようになり、消滅の危機にあった地域の伝統が盛り返すなど、さまざまな効果を生んだ。しかし、根拠のない学力低下論を発端に、政府は「教育再生実行会議」を発足させ、十分な議論もないまま、短時間のうちに見直しの結論を出そうとしている。「全国学力・学習状況調査」の結果を、過去の世代の学力調査の結果と比べてみても、今の子どもの学力は下がっているというデータは出ていない。つまり、学校5日制や総合学習の継続を否定するという結論にならないはずであるが、現状はそうではない。

「総合的な学習の時間」がもたらしたもの

 以前、京都の小学校で2年間、「総合的な学習の時間」においてゲストティーチャーとして教えた。「福祉」をテーマに掲げ、「地域をバリアフリーにしたい」という思いで取り組んだが、残念ながら地域すべてをバリアフリーにすることはできなかった。しかし、子どもたちは点字を覚えて点字プレートを作って、目の不自由な人が学校に来ても心配がないようにすることができた。その後、子どもたちに、

 「世の中をバリアフリーにしたいと思い続けていれば、大人になってからでも叶えることができるんだよ。」

ということを伝えた。あれから何年も経ち、当時の教え子と久しぶりに再会した。現在、福祉の道にすすんでいる子が何人かいたが、そのうちの一人は、小学校での体験がきっかけとなり、現在の挑戦につながっていると語った。このように、総合的な学習は着実に成果を出している。「ゆとり教育」は成功していると言えるのではないだろうか。

教育は「未来」のためにある

 ここ10年ほどで、教育界には、政治やマスコミなどから大きな外圧がかかるようになった。学校現場に問題の原因を求めがちな風潮がある。学校週5日制など効果が出ていると考えられるものでも、「全国学力・学習状況調査」による表面的な学力につながるかどうかの判断のみで見直しが行われようとしている。

 学校は、短期間で利益や成果を求められる民間企業とは異なり、あくまでも中長期的な視野で子どもたちを育てていかなければならない。また、子どもたちによりよい教育をするためには、教員に元気になってもらうのが一番である。教育とは、「今」でなく「未来」のために行うものである。だからこそ先生方にも未来を考えてほしい。そして子どもたちの未来について語ってほしい。

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